AWSバックアップにおけるデータベーススナップショットのクロスリージョンおよびクロスアカウント単一アクションコピー機能の拡張

2025年10月発表

AWSバックアップにおけるデータベーススナップショットのクロスリージョンおよびクロスアカウント単一アクションコピー機能の拡張

はじめに

AWS Backupは、データを効率的かつ安全に管理するために欠かせないサービスです。特に多くの企業がクラウドストレージのバックアップや災害復旧にこのサービスを活用しています。今回、AWSはこのAWS Backupにおける重要な新機能として、「単一アクションでのデータベーススナップショットのクロスリージョンおよびクロスアカウントコピー」機能を発表しました。この機能は、従来の複数ステップを要するプロセスを一段階に簡素化するものです。本記事では、AWS Backupの新機能について詳しく解説するとともに、この機能の活用方法やメリット、デメリットについて考察します。

概要

AWS Backupに加わった新機能は、Amazon RDS、Amazon Aurora、Amazon Neptune、Amazon DocumentDBのスナップショットを、単一のコピー操作で複数のAWSリージョンおよびアカウントに跨って転送できるというものです。これにより、ランサムウェア攻撃やリージョンの障害といったインシデントからの迅速なリカバリーが可能になります。これまではリカバリーを行うために、まずリージョンを越えてコピーを行い、次に別アカウントにコピーするといった二段階の作業が必要でしたが、新機能によりワンステップで実行できるようになりました。

詳細解説

従来のプロセスの課題

かつて、AWSのデータベーススナップショットのバックアップを他のリージョンまたはアカウントへ転送するためには、二つの手順を踏む必要がありました。これは、まずスナップショットを別のリージョンにコピーし、その後、そのリージョンから目的のアカウントへとコピーする方法です。このプロセスは管理負荷が高く、各ステップの完了を確認するためのカスタムスクリプトやAWS Lambdaを使ったモニタリングが必要でした。

新機能の詳細

今回追加された機能では、単一のコピーアクションでこの二段階のステップを省略でき、手動のステップ管理が不要となります。これは、AWS管理コンソール、CLI、SDKを通じて簡単に設定することができます。一括での操作により、より迅速なRPO(リカバリーポイントオブジェクティブ)の達成が可能になり、中間コピーに関連するコストを削減できます。

対応サービスとリージョン

この機能は、すべてのAmazon RDSとAmazon Auroraエンジン、Amazon Neptune、Amazon DocumentDBに対応しています。また、AWS Backupがクロスリージョンおよびクロスアカウントでのスナップショットコピーをサポートしている全てのリージョンで利用可能です。

開始方法

新機能を利用するには、AWS管理コンソールまたはAWS CLIを使用して、クロスリージョンおよびクロスアカウントの設定を行うだけです。詳細な使用方法については、AWSのドキュメントを参照することでスムーズに導入することができます。

利用用途・ユースケース

– 災害復旧計画の一環として、複数の地域にデータを分散して保管したい企業。
– リージョンそれぞれのデータセンターに対する障害を想定したバックアップ対策を強化したい場合。
– ランサムウェア攻撃に備えて、クロスアカウントにデータを保管し、安全性を高めたい組織。
– 迅速なデータリカバリーを求めるフィナンシャル・サービスや公共機関。

メリット・デメリット

  • メリット:
    • クロスリージョンおよびクロスアカウントを一回の操作で実行可能。
    • 管理オーバーヘッドの削減。
    • 迅速なRPOとコスト削減。
  • デメリット:
    • システム変更に伴う初期設定の時間と学習が必要。
    • 全てのユースケースに対応するには、詳細なAWS知識が求められる。

まとめ

AWS Backupへの新機能追加により、データ管理の効率性がさらに高まりました。特に今回の「単一アクションでのデータベーススナップショットのクロスリージョンおよびクロスアカウントコピー」機能は、企業が運用するシステムの安全性を劇的に向上させることが可能です。シンプルで効果的なデータ保護手段として、AWSユーザーの間で高い注目を集めることが予想されます。クラウドを活用した災害復旧の一環として、今すぐにでも検討を始めておくべきでしょう。

考察

この新機能の導入によって、AWSユーザーはより安全で効率的なデータ管理が可能になりました。クロスリージョンおよびクロスアカウントでのスナップショットコピーを一繋ぎで実行することで、管理の簡素化とコスト削減が期待できます。一方で、初期設定に時間を要する点や詳細なAWS知識が必要とされるため、注意深くプランを立てることが重要です。


タイトルとURLをコピーしました