AWS WAF、アプリケーション層DDoS自動保護の提供開始

2025年6月発表

AWS WAF、アプリケーション層DDoS自動保護の提供開始

はじめに

AWSは、アプリケーション層(L7)のDDoS攻撃に対する自動保護機能を強化し、さらに迅速な自動検出と緩和を可能にしました。この新機能は、数秒内にイベントに対応する設計がされており、Amazon CloudFrontやApplication Load Balancer(ALB)などのサービスを利用したアプリケーションが常に利用可能で、応答性を維持できるようにします。今までの手動によるルール構成や管理の負担が減ることから、クラウドセキュリティ管理者や信頼性エンジニアにとっては大きな助けとなるでしょう。

概要

AWS WAFは、アプリケーション層(L7)でのDDoS攻撃に対する保護を提供し、その処理能力を大幅に強化しました。新たに導入されたAWS Managed Ruleグループが、攻撃イベントをリアルタイムで自動的に検出し、すぐに対応できるため、手動での設定や運用負荷を削減することが可能です。この機能は、AWS WAFおよびAWS Shield Advancedの登録者に利用可能で、設定によって異常なトラフィックを検知し、攻撃者のリクエストに対して適切な対処を行うことができます。

詳細解説

自動検出と緩和のしくみ

AWS WAFが提供する自動DDoS保護は、トラフィックデータを監視し、数分で基準値を設定します。この基準をもとに機械学習モデルが異常を検知し、必要に応じてルールを適用して悪意あるリクエストに対処します。このプロセスにより、標的となったトラフィックは迅速かつ効果的に緩和されます。

カスタマイズ可能なルール設定

ユーザーは、自分のアプリケーションのニーズに応じてルールをカスタマイズ可能です。たとえば、挑戦を課すか、リクエストをブロックするかの選択が可能で、さまざまな攻撃パターンに対応する柔軟性を持っています。

サポート範囲と制限

この機能は、アジア太平洋(タイランド)、メキシコ(セントラル)、および中国(北京市および寧夏)を除く、すべてのサポート対象AWSリージョンで利用できます。Amazon CloudFrontやALBなどのAWSリソースに配備可能です。

利用用途・ユースケース

– 大規模なトラフィックを扱うWebサイトやアプリケーションの保護。
– AWS上のクラウドインフラを用いた高可用性のサービス提供。
– セキュリティ対策の時間とコストを抑えたい企業。
– 複数の地理的拠点でのAWSサービス利用時のセキュリティ対策。

メリット・デメリット

  • メリット:迅速なDDoS攻撃の検出と緩和によるサービス稼働時間の向上。
  • メリット:手動設定の負荷軽減による運用効率の向上。
  • デメリット:一部リージョンでは利用不可。
  • デメリット:攻撃パターンの複雑さによっては誤検知のリスクが存在。

まとめ

AWSの新しいDDoS保護機能は、サービスの可用性とユーザー体験を維持するために非常に有効です。自動検出とルール適用によって、管理者が手動で行っていた作業を省略し、迅速に対応を取ることができます。これにより、アプリケーションのパフォーマンスを犠牲にすることなく、セキュリティを確保することが可能になります。

考察

今回のAWS WAFの機能強化は、特に大規模なトラフィックを扱うビジネスにとって大きな利点となるでしょう。自動化されたプロテクションは、攻撃を未然に防ぐとともに、リソースの運用効率を向上させ、セキュリティ管理の負担を軽減します。しかし、特定地域での機能利用の制限や誤検知の可能性を考慮に入れて、導入計画を立てる必要があります。


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