AWS Site-to-Site VPNのVPNコンセントレーターによるマルチサイト接続の簡素化
はじめに
AWSは、特に分散した企業において、複数の遠隔サイトを簡単に接続するための新機能としてVPNコンセントレーターを発表しました。この機能は、25以上の遠隔サイトがAWSに接続する必要がある場合に適しており、それぞれのサイトが100Mbps未満の低帯域幅を必要とするケースに対応しています。従来、このような多くの低帯域幅の遠隔サイトをAWSに接続するには、複雑なソリューションに依存していましたが、VPNコンセントレーターの登場によりその運用負荷が大幅に軽減されます。
概要
AWS Site-to-Site VPNは、データセンターや支店オフィスとAWSリソースとの間で、IPセキュリティ(IPSec)トンネルを利用して安全な接続を作成するためのフルマネージドサービスです。今回の発表により、個別の仮想アプライアンスをデプロイおよび管理する必要がなくなり、これまでよりも簡単に多くの低帯域幅サイトがAWSへのアクセスが可能になりました。VPNコンセントレーターを用いることで、最大100のサイトが1つのアタッチメントを介してAWS Transit Gatewayに接続可能となり、マルチサイト接続が大幅に簡略化されます。
詳細解説
VPNコンセントレーターの役割
VPNコンセントレーターは、多数の低帯域幅の遠隔サイトを集約し、AWS内にあるワークロードへのシームレスなアクセスを可能にします。これにより、リソースの利用効率が向上し、サイトごとのVPNコストが削減されます。
高可用性の実現
従来のソリューションでは、仮想アプライアンスを複数のアベイラビリティゾーンにデプロイし、ネットワークを設定する必要がありましたが、VPNコンセントレーターではそのような複雑な手続きが不要です。AWSのマネージドサービスとして高可用性を実現します。
効率的な帯域幅利用
単一のVPNコンセントレーターにより、25以上の低帯域幅サイトを効率的に接続し、不要な帯域幅のオーバーヘッドを最小限に抑えることで、全体のコストを削減します。
利用用途・ユースケース
– 分散型企業が複数の支店や拠点をAWSに接続して業務システムをクラウド上で統合管理
– 小売業やサービス業における全国チェーンの店舗や支店の拠点ネットワーク構築
– 低帯域幅での接続が必要なIoTデバイスの管理
メリット・デメリット
- メリット: ネットワーク管理の簡素化、運用コストの削減、高可用性の標準装備
- デメリット: 各サイトの帯域幅上限が100Mbpsであるため、高帯域幅を必要とするワークロードには不向き
まとめ
AWS Site-to-Site VPNのVPNコンセントレーターは、特に分散した業務環境を有する企業にとって、コスト効率が高く、管理がしやすいネットワークソリューションを提供します。VPNコンセントレーターの導入により、運用負荷を大幅に軽減し、多数の低帯域幅サイトに対し、AWSリソースへの効率的なアクセスが可能となります。AWSのフルマネージドサービスとして高可用性を享受しつつ、簡単に利用を開始することができるため、多くの企業にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
考察
今回のVPNコンセントレーターの発表は、AWSユーザーにとって、ネットワーク管理の簡素化とコスト削減という大きなメリットをもたらします。一方で、各サイトの帯域幅が100Mbpsに制限されているため、これ以上の帯域を必要とする企業は別のソリューションを検討する必要があります。それでも、分散企業にとっては大変価値のあるオプションとなり得るでしょう。
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