2024年11月、AWSはAWS Shield Advancedの提供をアジアパシフィック(マレーシア)リージョンで開始しました。このアップデートにより、マレーシアリージョンで稼働するアプリケーションも、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃から高度な保護を受けることが可能になり、サービスの継続性と信頼性がさらに向上します。
AWS Shield Advancedとは?
AWS Shield Advancedは、AWSが提供するDDoS攻撃からアプリケーションを守るためのマネージド型セキュリティサービスです。標準機能であるAWS Shield Standardではカバーできない高度な保護を提供し、大規模かつ複雑な攻撃からもアプリケーションを安全に保ちます。
主な機能:
- 常時監視と自動インライン緩和
攻撃をリアルタイムで検出し、自動的に対応することで、ダウンタイムやパフォーマンス低下を防ぎます。 - 詳細な診断とレポート機能
攻撃状況を詳細にモニタリングし、可視化されたレポートを提供します。 - 料金保護
DDoS攻撃による予期せぬリソース使用量に対して、コスト保護機能を提供します。 - 専門的なサポート
DDoS攻撃に特化したAWSセキュリティチームのサポートを受けることが可能です。
想定される利用用途
1. 金融サービス
オンラインバンキングや決済システムなど、ミッションクリティカルなサービスをDDoS攻撃から守り、常時稼働を確保します。
2. Eコマースプラットフォーム
大規模なトラフィックを処理するオンラインストアが、攻撃によるサービス停止や遅延を回避できます。
3. 公共機関のウェブサービス
市民向けのオンラインポータルやサービスを攻撃から守り、重要な情報提供の継続を保証します。
4. メディア配信プラットフォーム
動画ストリーミングやニュース配信サービスが、攻撃による品質低下を防ぎ、視聴者体験を保ちます。
メリット
1. サービスの継続性を保証
自動インライン緩和機能により、DDoS攻撃中でもアプリケーションが通常通り動作し、ビジネスへの影響を最小限に抑えます。
2. 専門的なサポートを提供
DDoS攻撃に関する専門的なサポートが受けられ、迅速な問題解決が可能です。
3. コスト保護
攻撃による予期せぬリソース使用量に対して、追加コストを防ぐための料金保護機能があります。
4. 柔軟な導入
AWS環境に統合されているため、既存のAWSリソース(Amazon EC2、CloudFront、Route 53など)を利用しているユーザーにとって導入が容易です。
デメリット
1. コストが追加で発生
Shield Advancedは高度な保護を提供する有料サービスであり、標準機能よりもコストが高くなります。
2. 導入と設定の複雑さ
適切な保護を設定するには、ネットワークやセキュリティに関する専門知識が必要です。
3. 地域の制約
サービスはマレーシアリージョンで利用可能ですが、他のリージョンに展開している場合は別途設定が必要です。
まとめ
AWS Shield Advancedのマレーシアリージョンでの利用開始は、同地域でのクラウドサービスを展開する企業にとって大きなメリットです。DDoS攻撃による被害を防ぐための高度な保護機能を利用することで、サービスの安定性を向上させ、顧客満足度を維持できます。
一方で、導入にはコストや設定の複雑さといった課題もあるため、自社のセキュリティ要件に応じて検討することが重要です。
詳細は、公式発表ページをご覧ください。