AWS Security HubによるNIST SP 800-171 Rev. 2サポート開始

2025年5月発表

はじめに

AWS Security Hubが、NIST SP 800-171 Revision 2に基づいた自動セキュリティチェックのサポートを開始しました。この新機能は、AWSを利用する企業や組織が、サイバーセキュリティとコンプライアンスの観点からより安心してAWSサービスを活用できるようにするための重要な一歩です。特に、制御されていない機密情報(CUI)の機密性を保護するための推奨セキュリティ要件を満たすことが求められる企業にとっては、非常に役立つ機能となるでしょう。

概要

AWS Security Hubは、NIST SP 800-171 Revision 2(以下、NIST SP 800-171 Rev. 2)に基づいた自動セキュリティチェックをサポートするようになりました。NIST SP 800-171 Rev. 2は、米国商務省の一部である国立標準技術研究所(NIST)によって開発された、サイバーセキュリティとコンプライアンスのフレームワークです。このフレームワークは、政府機関外のシステムや組織が制御されない機密情報(CUI)の機密性を守るためのセキュリティ要件を提供しています。Security Hubでは、NIST SP 800-171 Rev. 2の基準に沿った63の自動コントロールを通じて、AWSリソースのコンプライアンス評価を行います。

詳細解説

NIST SP 800-171 Rev. 2とは

NIST SP 800-171 Rev. 2は、制御されない機密情報(CUI)を保護するためのセキュリティ要件を提供する文書です。NISTは、サイバーセキュリティのベストプラクティスを策定し、公的および民間組織に指針を提供しています。SP 800-171は特に、非連邦組織がCUIを扱う際の基準を提供し、リスク管理のためのセキュリティコントロールをまとめています。

AWS Security Hubによるサポート

AWS Security Hubが提供する新しい基準は、AWSリソースがNIST SP 800-171 Rev. 2の要件を満たしているかを自動で評価します。これにより、組織は自らリソースを一つ一つ手動で確認する手間を省くことができ、時間を大幅に節約できます。Security Hubは、これらのコントロールを通じて全AWSリージョンで使用可能となっており、中央集約型の設定で一度の操作で全ての関連AWSアカウントに適用することが可能です。

実際の運用方法

この新基準を利用するには、AWS Security Hubの中央設定を使うことを推奨します。この方法では、組織のすべてまたは一部のアカウントで基準を簡単に有効化することができ、Security HubにリンクされたすべてのAWSリージョンでも自動的に適用されます。これにより、大規模なAWS環境においても管理がしやすくなります。

利用用途・ユースケース

NIST SP 800-171 Rev. 2のサポートは、以下のような場面で有用です:

– **政府関連の業務を行う企業**:CUIを扱う必要がある非政府組織は、法令遵守のために必要なセキュリティ要件を満たすことができます。
– **セキュリティを重視した企業**:金融、医療、IT企業など、機密性の高いデータを扱う場合にセキュリティの強化として利用可能です。
– **コンプライアンス要件のある業界**: 各種規制に準拠する必要がある団体(例:ISOやGDPR準拠)において活用できます。

メリット・デメリット

  • メリット
  • 自動化されたセキュリティチェックにより、管理工数の削減を実現
  • コンプライアンスの準拠状況を一括で確認可能
  • 全AWSリージョンでの適用が容易
  • デメリット
  • セットアップには初期のインフラストラクチャ設定が必要
  • 標準にない特殊な要件のカバーは難しい場合あり

まとめ

AWS Security HubのNIST SP 800-171 Rev. 2サポートは、AWS利用者がセキュリティとコンプライアンス面で安心してクラウドサービスを利用するための大きな助けとなります。新基準を用いることで、組織は自身のコンプライアンス状態を容易に確認し、必要な対策を迅速に講じることができます。AWSによる強固なセキュリティ基盤の提供は、企業の業務効率を高め、信頼性の向上に寄与することでしょう。


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