2024年12月、AWSはAmazon S3のストレージクラス「S3 Express One Zone」および「S3 One Zone-低頻度アクセス(IA)」をAWS Dedicated Local Zonesで利用可能にしたことを発表しました。この新機能により、企業は特定の地域でのデータ保存要件を満たしつつ、コスト最適化や低レイテンシーアクセスを実現できます。
AWS Dedicated Local Zonesとは?
AWS Dedicated Local Zonesは、AWSが管理するインフラストラクチャを特定の地域やデータセンターに設置し、データレジデンシー(データの保存場所)やレイテンシー要件を満たすことを目的としたサービスです。特に、法規制やコンプライアンス上の理由でデータの保存場所を明確にする必要がある企業にとって有用です。
新たなS3ストレージクラスの概要
1. S3 Express One Zone
- データ保存:単一のアベイラビリティゾーン(AZ)内で冗長的に保存。
- 低レイテンシー:高速データアクセスを実現。
- コスト効率:複数AZストレージクラスに比べてコストを抑えられる。
2. S3 One Zone-低頻度アクセス(IA)
- データ保存:単一のAZ内で保存し、低頻度アクセスに最適化。
- コスト削減:アクセス頻度が少ないデータ向けで、コストをさらに最適化。
想定される利用用途
1. データレジデンシーの確保
法規制やコンプライアンス要件に従い、データを特定地域に保存する必要がある場合に最適。
2. 低レイテンシーアプリケーション
ユーザーに迅速なデータアクセスを提供したいアプリケーションで利用。
3. データ管理コストの削減
バックアップデータやアーカイブデータなど、アクセス頻度が低いデータを効率的に管理。
4. エッジアプリケーション
エッジロケーションでデータを処理するアプリケーションにおいて、Dedicated Local Zonesを活用してレイテンシーを最小化。
メリット
1. 柔軟なデータ管理
企業の要件に応じて保存場所を選択でき、コンプライアンスやデータガバナンスを向上。
2. コスト最適化
S3 Express One ZoneおよびOne Zone-IAは、複数AZストレージよりも低コストでデータ保存を実現。
3. アクセスの高速化
Dedicated Local Zonesの特性を活かして、エンドユーザーに高速なデータアクセスを提供。
4. 環境への適応性
企業独自のワークロードや地域要件に適応可能。
デメリット
1. データ可用性のリスク
単一のAZに依存するため、障害が発生した場合、データの可用性が損なわれる可能性がある。
2. 対応範囲の制限
特定のユースケースや地域にのみ適用可能であり、すべてのシナリオに適さない。
3. データ復旧の手間
複数AZにわたるストレージと比べると、災害復旧の対応が複雑になる可能性がある。
公式サイトのリンク
詳細は、AWS公式発表ページをご覧ください。
まとめ
AWS S3の新しいストレージクラス「S3 Express One Zone」と「S3 One Zone-IA」のDedicated Local Zones対応により、企業は特定地域でのデータ管理を柔軟に行えるようになりました。これにより、データレジデンシーの要件を満たしつつ、低レイテンシーアクセスやコスト最適化を実現できます。ただし、単一AZのリスクや適用範囲を十分に考慮し、バックアップ戦略を含む総合的な計画を立てることが重要です。