AWS Private CAがCAあたり最大1億の証明書発行に対応

2025年7月発表

AWS Private CAがCAあたり最大1億の証明書発行に対応

はじめに

AWS Private Certificate Authority(AWS Private CA)は、これまで制限されていた1,000,000の証明書発行の上限を大幅に引き上げ、今後はCA(証明書発行機関)あたり最大1億の証明書を発行できるようになりました。この変更により、より少ない数のCAでPKI(公開鍵基盤)の管理を最適化できるようになり、安全性と柔軟性を維持しながら運用が可能となります。この記事では、この新しい機能の詳細と、その実際の使い道について掘り下げていきます。

概要

AWS Private CAはAWSが提供するマネージドな証明書発行サービスであり、内部ユーザー、サーバー、アプリケーション、デバイスの認証に使用されるデジタル証明書を発行します。新たな変更点として、証明書の発行上限が1,000,000から100,000,000と大幅に増加しました。ただし、この上限は証明書の失効がパーティション化された証明書失効リスト(CRL)やオンライン証明書ステータスプロトコル(OCSP)で管理されている場合のみ適用され、完全なCRLを使用している場合の制限は従来通りとなっています。

詳細解説

対象となる構成

今回のリミット増加は、CRLのパーティション化設定を採用しているか、OCSPを利用している証明書発行機関に対して適用されます。これにより、より高度にスケーラブルな証明書発行が可能となります。一方、完全CRLを扱う証明書発行機関においては、一貫性と安全性を維持するために、従来の制限が引き続き適用されます。

セキュリティと認証の強化

AWS Private CAは連邦情報処理規格(FIPS)140-3レベル3のハードウェアセキュリティモジュール(HSM)を使用して、CAの秘密鍵を保護しています。そのため、非常に厳密なセキュリティ要件が求められる環境でも安心して利用できます。また、Kubernetes、およびActive Directory、モバイルデバイス管理(MDM)ソフトウェアとの統合もサポートしており、シームレスな運用が可能です。

リージョンと対応地域

この新しい機能は、すべての商用AWSリージョン、AWS GovCloud(米国)リージョン、および中国リージョンで利用可能となっています。これにより、グローバルな業務展開を行っている企業も、地域を問わずに統一した基盤での運用が行える環境が整っています。

利用用途・ユースケース

AWS Private CAの拡張された証明書発行能力は、特に大規模なITインフラを管理している企業や組織に適しています。以下はその主なユースケースです。

– 大規模な内部ネットワークにおけるデバイスとユーザーの一括管理
– クラウドネイティブなアプリケーションのセキュリティ強化
– マルチリージョンにわたるサービスの一元管理
– 高頻度の証明書発行を必要とするIoTデバイス管理

メリット・デメリット

  • メリット: 大規模インフラでの管理が容易になり、運用コストも抑制可能
  • メリット: 強力なセキュリティ基盤でプライバシーとデータ保護を強化
  • メリット: AWSの他サービスとの統合により、運用効率が向上
  • デメリット: 設定や運用管理の面で専門知識が必要
  • デメリット: 完全CRLを利用する場合の証明書数制限の残存

まとめ

AWS Private CAの証明書発行上限の増加は、より少ない数のCAで大規模な管理を行いたいAWSユーザーにとって非常に喜ばしいニュースです。特に、パーティション化されたCRLやOCSPを利用する場合には、セキュリティと運用効率の両立が可能です。こうしたAWSの取り組みは、企業のITインフラをさらに簡単に、より安全に管理するための道を開いています。

考察

この発表により、AWSユーザーは証明書の管理におけるリソース効率を大幅に向上させることができます。しかし、環境によっては、設定の複雑さを考える必要があるため、機能を最大限に活用するには専門的な知識が求められます。それでも、この変更はAWSを使う多くのユーザーにとって大きなメリットをもたらすことでしょう。


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