AWS Lambdaにプロビジョンドモードを追加!Kafka ESMでスループットを最適化

2024年11月発表

AWSは2024年11月、AWS LambdaKafkaイベントソースマッピング(ESM)に対してプロビジョンドモードを導入しました。この新機能により、KafkaをイベントソースとするLambda関数のスループットを細かく制御でき、リアルタイム性が求められるアプリケーションや高トラフィックに対応するシステムでの安定したパフォーマンスを実現します。


AWS Lambdaのプロビジョンドモードとは?

従来、AWS LambdaのKafka ESMは、トラフィックの増減に応じて自動的にポーリングリソースをスケーリングしていました。しかし、トラフィックの急増時にはスループットの確保が難しく、応答の遅延やシステム負荷が発生する可能性がありました。

プロビジョンドモードでは、イベントポーラーと呼ばれるポーリングリソースの最小数と最大数を設定できます。この設定により、安定したスループットが確保され、以下のようなシナリオで効果的に機能します:

  • リアルタイム性が重視されるアプリケーション
  • 突発的なトラフィック増加が予想されるシステム
  • 予測可能なスループット要件を持つシナリオ

想定される利用用途

  1. リアルタイムデータ処理
    IoTデバイスや金融取引のデータをリアルタイムで分析し、即時の意思決定を行うシステム。
  2. 高トラフィック対応のウェブサービス
    突発的なユーザー増加に対応する必要があるECサイトやオンラインゲーム。
  3. イベントドリブンアーキテクチャ
    Kafkaを中心としたイベント駆動型のシステムで、安定したスループットを維持しながらイベント処理を行う。
  4. カスタマーサポートシステム
    チャットボットやサポートチケットシステムなど、即時応答が求められるシステム。

利用可能なリージョン

この新機能は、AWS Lambdaが利用可能なすべての商用リージョンで提供されています。ただし、一部リージョン(イスラエル(テルアビブ)、アジアパシフィック(マレーシア)、カナダ西部(カルガリー))では利用できません。


メリット

1. スループットの最適化

イベントポーラーの数を設定することで、トラフィック量に応じたスループットの最適化が可能です。

2. 自動スケーリング

設定した最小値と最大値の範囲内でスケーリングが自動化され、手動調整の手間を省けます。

3. 安定したパフォーマンス

リアルタイム性が重要なアプリケーションにおいても、安定した応答性を維持できます。

4. コストコントロール

適切なスループットを確保することで、過剰なリソース使用や不足による損失を防げます。


デメリット

1. 設定の複雑さ

システムの負荷やトラフィックパターンを正確に把握し、適切なポーラー数を設定する必要があります。

2. コスト増加の可能性

プロビジョンドモードの使用により、追加のコストが発生する場合があります。

3. 対応リージョンの制限

一部のAWSリージョンではこの機能が利用できないため、グローバル展開しているシステムでは注意が必要です。


導入方法

  1. AWS Lambdaの管理コンソールにアクセスし、Kafka ESMを設定します。
  2. プロビジョンドモードを有効化し、イベントポーラーの最小数と最大数を設定します。
  3. 設定を保存し、テストを実行してスループット要件に適合していることを確認します。

詳細は、公式ドキュメントをご参照ください。


まとめ

AWS LambdaのKafkaイベントソースマッピングにプロビジョンドモードが導入されたことで、トラフィック量が予測しにくい環境やリアルタイム性が求められるアプリケーションにおけるパフォーマンス向上が期待できます。スループットの最適化や自動スケーリング機能により、安定したシステム運用が可能です。一方で、設定の複雑さやコストには注意が必要です。

詳細は、公式発表ページをご覧ください。

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