はじめに
AWS Key Management Service(KMS)は、インポート済みのキー素材を持つ対称鍵のオンデマンド回転をサポートすることを発表しました。この新機能により、Bring Your Own Keys(BYOK)ポリシーを採用する組織は、キー識別子(キーARN)を変更することなく、暗号化キー素材を更新できます。これにより、定期的なキーの回転を求めるコンプライアンス要件やセキュリティのベストプラクティスに適合することが容易になります。このブログでは、AWS KMSの新機能の利点や活用方法について詳しく解説していきます。
概要
AWS KMSの新機能として、インポートされたキーの暗号化素材をオンデマンドで回転することが可能になりました。オンデマンド回転は、キー識別子や既存の設定に影響を与えることなく、現在のキー素材を新たなものに交換できるため、運用中のシステムにおいてもスムーズな移行が可能です。この機能はすべてのAWSリージョンで利用可能であり、即時回転やスケジュールされた回転もサポートしています。
詳細解説
オンデマンド回転の重要性
組織はセキュリティ対策の一環として、定期的な暗号化キーの回転を実施する必要があります。これにより、データの安全性を高め、不正アクセスや情報漏洩リスクを最小限に抑えることが可能です。オンデマンド回転により、キー素材を定期的に交換しつつ、システム稼働への影響を最小限に抑えることができます。
既存のデータとの互換性
AWS KMSのオンデマンド回転機能は、既存のデータと完全な互換性を維持します。キーARNやエイリアスを変更することなく、新しいキー素材へシームレスに移行でき、これにより既存のアプリケーションやデータ保護の設定を変更する必要がありません。
スケジュールされた回転
必要に応じて、回転のスケジュール機能も利用できます。これにより、特定の時間にキー関連のメンテナンスを行いたい組織にとって、運用面での柔軟性が向上し、計画的なセキュリティ運用を実現できます。
利用用途・ユースケース
– コンプライアンス遵守におけるキーの定期回転
– セキュリティ強化のためのオンデマンドでのキー素材更新
– AWS内でのカスタムセキュリティポリシー実行に伴う操作の簡素化
– パートナーや顧客データを安全に管理するためのインポート鍵の保護
メリット・デメリット
- メリット
- キー素材を頻繁かつ容易に更新可能
- ダウンタイムなしでの回転実施が可能
- 既存のデータと完全な互換性を保持
- コンプライアンス要件を容易に満たすことができる
- デメリット
- 組織内での回転計画の策定が必要
- オンデマンドによる頻繁な更新が運用に影響を与える可能性
まとめ
AWS KMSのオンデマンドキー回転機能の追加により、組織は柔軟かつ効率的に暗号化キー素材を管理し、セキュリティとコンプライアンス要件に簡単に準拠できるようになりました。この新しい機能は、既存のキー識別子を変更することなく、システムの干渉を最小限に抑えてセキュリティプロファイルを向上させます。組織が自社のセキュリティポリシーにより効果的に準拠するための強力なツールとして、AWS KMSの利用価値は一層高まることでしょう。
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