AWS IAM、外部サービスへのアイデンティティフェデレーションをJSON Webトークン(JWT)で実現

2025年11月発表

AWS IAM、外部サービスへのアイデンティティフェデレーションをJSON Webトークン(JWT)で実現

はじめに

AWS Identity and Access Management(IAM)は、AWSユーザーにおけるアクセス管理を簡素化するための重要なサービスです。今回、AWS IAMはJSON Webトークン(JWT)を活用して、AWSアイデンティティを外部サービスと連携する「アウトバウンド・アイデンティティフェデレーション」の機能を発表しました。この機能により、AWS上のワークロードが短期間の資格情報を使用して安全に外部サービスにアクセスできるようになります。本記事では、この新機能の概要、利用方法、そして考察を詳細に解説します。

概要

AWS IAMの新機能であるアウトバウンド・アイデンティティフェデレーションは、AWSの資格情報を短期のJWTに交換することで、外部サービスへのセキュアなアクセスを実現します。これにより、第三者のクラウドプロバイダーやSaaSプロバイダー、セルフホストアプリケーションに対して、長期の資格情報を使用することなく認証を簡単に行うことができます。この仕組みは、すべてのAWS商用リージョン、AWS GovCloud(US)リージョン、および中国リージョンで利用可能です。

詳細解説

JSON Webトークン(JWT)の仕組み

JSON Webトークン(JWT)は、クライアントとサーバー間でデータをコンパクトかつ安全に伝達するための標準フォーマットです。AWS IAMでは、これを用いることで、AWSの資格情報を安全に外部へ提供します。各JWTは署名され、有効期間が設定されているため、セキュリティが強化されています。

トークン生成と管理

AWS IAMを通じてJWTを生成する際、管理者はIAMポリシーを使用してトークンの属性(例:有効期間、受け手、署名アルゴリズム)を制御することができます。このプロセスにより、組織のセキュリティおよびコンプライアンス要件に合致したトークン管理が可能です。

CloudTrailを活用した監査

生成されたトークンの利用状況は、AWS CloudTrailを使用して監査が可能です。これにより、トークンの生成・使用の履歴を確認し、セキュリティイベントの検出やコンプライアンスの追跡を効率的に行うことができます。

利用用途・ユースケース

アウトバウンド・アイデンティティフェデレーションを活用することで、以下のようなユースケースに対応できます:
– 複数のクラウド環境間でのシームレスなセキュリティ設定とアクセス許可の連携。
– SaaSサービスへの安全なアクセスの提供、API連携の簡素化。
– セルフホストアプリケーションへの一時的なアクセス権の付与。

メリット・デメリット

  • メリット
    • 短期資格情報の利用によるセキュリティリスクの軽減
    • トークンベースの簡易なアクセス制御の実行
    • CloudTrailとの連携による監査能力の向上
  • デメリット
    • JWTの設定が適切でないとセキュリティリスクが生じる可能性
    • トークン管理の複雑さが増す可能性

まとめ

AWS IAMにおけるアウトバウンド・アイデンティティフェデレーションは、JSON Webトークンを利用して、外部サービスへのセキュアなアクセスを簡素化する強力なツールです。これにより、AWS環境でのワークロード認証がより効率的でセキュアになり、多様なクラウド環境間でのインタラクションがスムーズに行えます。AWSの環境を利用する企業にとって、セキュリティと利便性の両方を高めるこの新機能は、大きな価値をもたらします。

考察

この新機能の導入により、AWSユーザーは自社のセキュリティポリシーを外部のサービスプロバイダーにも適用しやすくなります。また、短期のJWTの利用により、長期資格情報に伴うリスクが軽減され、全体的なセキュリティが向上します。しかし、トークン管理やポリシー設定の理解を深める必要があるため、利用に際しては十分な計画と準備が求められます。


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