AWSは、セキュリティ管理を効率化するAWS Firewall Managerに、既存のAWS WAF(Web Application Firewall)ウェブACLを後から適用できる機能を追加しました。この機能により、既存のウェブアプリケーションにすでに設定されているWAFルールセットを一元管理できるようになります。以前は、Firewall Managerで統一的な管理を行うには新たにウェブACLを作成する必要がありましたが、この制約がなくなり、既存のセキュリティ設定に基づいて保護を拡張できるようになりました。この機能の追加によって、セキュリティ管理者はAWS全体のセキュリティポリシーを統合し、セキュリティ管理の負担を軽減し、さらに効率的な運用が可能となります。
新機能の概要
AWS Firewall Managerに追加されたこの新機能では、すでにAWS WAFで構成されているウェブACLをAWS Firewall Manager経由で管理・適用できるようになります。Firewall Managerを使用することで、複数のAWSアカウントやリソースにわたる一元的なセキュリティポリシーの管理が可能となり、統合的なポリシーの適用が実現されます。この機能は、セキュリティの強化を図りながら、設定変更を最小限に抑えることで、運用上の負担を軽減し、AWS環境のセキュリティガバナンスの改善をサポートします。AWS WAFの適用範囲を柔軟に変更できるため、セキュリティ要件に応じたポリシーの迅速な調整が可能です。
想定される利用用途
- 大規模なWebアプリケーションのセキュリティ管理:複数のアカウントやアプリケーションにまたがるウェブACLの一元管理を行い、セキュリティ設定の統合を実現。
- 既存セキュリティポリシーの効率的な運用:既に適用済みのWAFルールを再利用しつつ、Firewall Managerを通じて追加のポリシーを容易に適用。
- 新規アプリケーションへのセキュリティの後付け:すでに運用中のWebアプリケーションに対し、後からFirewall Managerでポリシーを追加し、迅速にセキュリティを強化。
- 異なるAWSアカウント間でのポリシー共有:複数のAWSアカウントをまたいで、同じセキュリティルールを適用し、統一的なセキュリティ基準を確保。
メリット
- 一元管理による効率化:既存のウェブACLを後付けで適用することで、AWS環境全体のセキュリティを統一的に管理しやすくなり、管理コストが削減。
- 迅速なセキュリティ強化:新規のWAF設定なしでFirewall Managerによる既存ルール適用が可能なため、即時的なセキュリティ強化が可能。
- 複数アカウントにまたがるポリシー適用:Firewall Managerを通じて複数アカウントにポリシーを共有でき、AWSリソースの一貫したセキュリティ基準を維持。
- 運用負荷の軽減:設定の変更や新規ルール追加が不要なため、セキュリティポリシー運用の負荷が減少し、セキュリティ担当者の負担が軽減。
デメリット・課題
- 利用コストの増加:AWS Firewall Managerの利用は追加コストが発生するため、コスト管理が求められる。
- 既存設定との整合性:既存のWAF設定とFirewall Managerによる適用との整合性を保つため、詳細な確認とテストが必要。
- スキル要件:Firewall ManagerやWAFの知識が必要なため、利用にあたってはスキルを持つ担当者が必要。
- 全体ポリシー管理の複雑化:セキュリティポリシーを一元管理する場合、複雑なポリシー構成が生じる可能性があり、ガバナンスの維持が難しい場合もある。
まとめ
AWS Firewall Managerの既存WAFウェブACLへの後付け適用機能により、既に運用中のアプリケーションに対しても迅速に統一的なセキュリティ管理が適用可能になりました。セキュリティ管理者は、AWS環境全体にわたる一貫したセキュリティ基準を保ちつつ、運用負荷の軽減と迅速なポリシー適用が実現できます。既存のセキュリティ設定を再利用しながらFirewall Managerで管理することで、コスト効率も高まり、AWSリソースのセキュリティガバナンスが強化されます。一方で、整合性やコスト管理といった課題もあるため、適切な運用体制とスキルが求められます。
詳細は公式ページをご覧ください。