AWS Directory Service for Microsoft ADとAD Connectorの台北リージョン展開

2025年6月発表

AWS Directory Service for Microsoft ADとAD Connectorの台北リージョン展開

はじめに

AWSは、Directory Service for Microsoft Active Directory(以下、AWS Managed Microsoft AD)とAD Connectorの新たな利用可能地域をアジア太平洋(台北)リージョンに拡大しました。このアップデートにより、台北リージョン内のユーザーは、AWS Managed Microsoft ADを用いてADに対応したアプリケーションのクラウド移行を促進しつつ、ADインフラの管理負荷を削減することが可能になります。また、AD Connectorの導入により、既存のオンプレミスのADインフラをクラウドに配置することなく、AWSリソースに統合することができるようになりました。

概要

AWS Directory Serviceは、企業や組織がAWSクラウド環境でMicrosoft Active Directory(AD)の機能を容易に利用できるようにするサービスです。AWS Managed Microsoft ADは、本物のMicrosoft AD上に構築されており、ADに依存するアプリケーションをAWSクラウドに簡単に移行できるだけでなく、ADインフラの管理を軽減します。一方、AD ConnectorはAWSアプリケーションが既存のオンプレミスのADアイデンティティを使用可能になるプロキシとして機能し、AWSクラウドにおける既存のADインフラの再構築を必要としません。

詳細解説

AWS Managed Microsoft ADの機能

AWS Managed Microsoft ADは、実際のMicrosoft ADを基盤としたディレクトリサービスです。これにより、ユーザーはMicrosoftのADデータをそのままAWS環境内で使用でき、AWS Direct ConnectやVPNを通じてオンプレミス環境との連携も簡単に行えます。これにより、EC2インスタンスへのドメイン参加や、コンテナやKubernetesクラスターの管理がスムーズに行えます。

AD Connectorの役割

AD Connectorは、オンプレミスのADドメインとAWSリソースとの連携を可能にするプロキシサービスです。これにより、AWSクラウド内にADインフラを構築することなく、既存のADユーザーアカウントやグループポリシーを活用して、Amazon EC2インスタンスなどを管理することができます。特に、セキュリティグループやファイアウォール設定をそのまま適用できるため、シームレスな管理が可能です。

台北リージョンへの展開による影響

今回の台北リージョンでのAWS Managed Microsoft ADとAD Connectorの提供開始は、アジア太平洋地域の企業にとって大きな利便性をもたらします。地域内のデータレジデンシー要件に対応したAD管理が可能になるだけでなく、新たにこの地域に拠点を置く企業にとっても、クラウドへの移行を円滑に行うための環境が整ったといえます。

利用用途・ユースケース

AWS Managed Microsoft ADとAD Connectorは、様々な場面で活用できます。

– ADベースのアプリケーションのAWSクラウドへの移行
– EC2インスタンスやコンテナ、Kubernetesクラスターのドメイン参加・管理
– オンプレミスADを利用したクラウドリソースの認証・承認操作
– 地域のデータレジデンシー要件に対応するためのクラウドインフラ管理

メリット・デメリット

  • メリット: ADインフラ管理の負担軽減
  • メリット: シームレスなオンプレミスADとの統合
  • メリット: 台北リージョンでの利用開始による地域要件対応
  • デメリット: AWS Managed Microsoft ADの利用には一定のサービスコストが発生
  • デメリット: AD ConnectorはオンプレミスADに依存するため完全なAWS環境での独立運用は不可

まとめ

AWS Directory Service for Microsoft ADとAD Connectorが、アジア太平洋(台北)リージョンでも利用可能になりました。これにより、ADを利用したクラウド移行や運用がさらに柔軟になり、多様な企業ニーズに対応することが可能です。台北リージョンにおけるAWS環境でのAD運用は、多くの企業にとってセキュアで効率的なクラウド活用をサポートするものとなっています。

考察

今回の発表により、アジア太平洋地域、とりわけ台北リージョンにおけるAWSユーザーは、ますます特定地域の法規制を満たしつつ、スムーズにクラウドインフラを活用できるようになります。AWS Managed Microsoft ADとAD Connectorを併用することで、オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境の構築が容易になり、ビジネスの柔軟性やセキュリティの向上が期待されます。ただし、サービスの採用にはコストや依存関係を考慮する必要があります。


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