AWS Data Exports for FOCUS 1.2の一般提供開始
はじめに
AWSは、クラウド環境でのコストと使用状況の管理を標準化し、簡略化するためのFOCUS 1.2の一般提供を開始しました。新たに提供されるAWS Data Exports for FOCUS 1.2により、ユーザーはAWSのコストおよび使用状況のデータをFOCUS 1.2スキーマに準拠してAmazon S3にエクスポートできます。これにより、マルチクラウド環境やSaaSにおけるコスト管理の効率が向上すると期待されています。
概要
AWS Data Exports for FOCUS 1.2は、複数のクラウドプロバイダにまたがるコスト管理を標準化するためのスキーマであるFOCUS 1.2を使用し、AWSのコストと使用状況のデータを出力する機能です。これにより、企業は請求書の調整や予約済み容量の使用状況確認、バーチャル通貨によるコスト管理を効率化できます。アメリカ東部(バージニア北部)リージョンにおいて利用可能で、AWS GovCloudや中国リージョンを除く全てのAWSリージョンのデータをカバーしています。
詳細解説
インボイス調整機能
AWS Data Exports for FOCUS 1.2では、請求書調整機能により財務クローズプロセスが効率化されます。エクスポートされたデータは、FOCUS 1.2スキーマに準拠して構造化されており、各プロバイダのデータを統一的に扱うことが可能です。
未使用の予約を識別する
ユーザーは、予約している容量が適切に使用されていない部分を容易に特定できます。これにより、無駄なリソースの使用を削減し、コストの最適化が期待されます。
バーチャル通貨のサポート
この新しいエクスポート機能は、マルチクラウドおよびSaaS環境におけるコスト管理において、バーチャル通貨の利用もサポートします。この機能によって、通貨が異なる環境でも統一されたコスト管理が可能になります。
利用用途・ユースケース
AWS Data Exports for FOCUS 1.2は、以下のような場面で活用が考えられます。
– 組織全体のクラウドコストを一元管理する際の標準化ツールとして
– 複数のクラウドプロバイダにまたがるコスト分析における比較基準の提供
– SaaSプロバイダが自社内外の資源使用状況を正確に把握し、コスト効率を改善するためのデータ連携
メリット・デメリット
- メリット:クラウドコスト管理の標準化による効率化
- メリット:未使用リソースの効率的な特定
- メリット:バーチャル通貨によるマルチクラウドコスト分析の簡略化
- デメリット:特定リージョンのみの対応(GovCloud, 中国リージョンを除く)
- デメリット:FOCUSスキーマに慣れるまでの学習コスト
まとめ
AWS Data Exports for FOCUS 1.2は、クラウドコストを一元管理し、効率的な財務運営を実現するための強力なツールとして期待されています。インボイス調整、未使用予約の特定、およびバーチャル通貨のサポートを通じて、複雑なクラウドコスト管理における課題を解決し、標準化されたコスト報告を提供します。企業がクラウドリソースを適切に活用し、コスト効率を最大化する上で、この新機能は大いに役立つことでしょう。
考察
AWS Data Exports for FOCUS 1.2のリリースは、クラウドコスト管理をより効率的に行いたいと考えている企業にとって重要な進展と言えるでしょう。特に、複数のプロバイダにまたがる環境に対応する必要がある場合、標準化されたスキーマはデータの統合を容易にし、全体の運用効率を向上させます。ただし、特定のリージョンへの依存や、新たに標準化するための時間的コストなど、導入における注意点もあります。
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