AWSは2024年12月、新たにAWS Control Towerにおいて、**Managed Controls(管理されたコントロール)と宣言型ポリシー(Declarative Policies)**を発表しました。この機能により、複雑なクラウド環境を効率的に管理しながら、セキュリティとコンプライアンスを一段と強化できるようになります。
AWS Control Towerとは?
AWS Control Towerは、AWS環境のマルチアカウント管理を簡素化するためのフルマネージドサービスです。セキュリティ、ガバナンス、コンプライアンスのベストプラクティスを自動的に適用し、AWS環境全体を一元管理できます。
今回追加されたManaged Controlsと宣言型ポリシーにより、企業はリソースの設定やポリシー適用をより柔軟に管理できるようになりました。
新機能の概要
1. Managed Controls
- AWSが提供する既製のコントロールを使用して、セキュリティやガバナンスの基準を簡単に適用。
- Control Towerダッシュボードから有効化や管理が可能。
- 一部のコントロールは自動的にアカウントに適用され、運用負荷を軽減。
2. 宣言型ポリシー
- 設定やポリシーをコードとして記述し、Infrastructure as Code(IaC)の一環として適用。
- AWS Organizationsと統合されており、ポリシーの継承や適用が簡単。
- AWS CloudFormationを利用してデプロイ可能。
想定される利用用途
1. セキュリティ基準の強化
企業が内部ガバナンスや外部規制(例:GDPR、HIPAA)に準拠するためのセキュリティポリシーを一元管理し、自動化。
2. マルチアカウント管理
AWSアカウントが多数存在する大規模環境で、管理コストを削減しつつポリシーを標準化。
3. DevOps環境の強化
IaCの一環として宣言型ポリシーを導入し、CI/CDパイプラインの一貫性を保ちながらセキュリティとガバナンスを適用。
メリット
- 簡素化された運用
Managed Controlsにより、複雑なセキュリティやコンプライアンスの設定がAWSによって自動化。 - スピーディーな展開
宣言型ポリシーにより、新しいアカウントやリソースへの設定適用が迅速化。 - 一貫性の確保
コードとして管理できるため、環境全体で一貫したポリシー適用が可能。 - 運用負荷の軽減
既製のコントロールとポリシーテンプレートを活用することで、管理者の作業負荷を削減。
デメリット
- 学習コスト
宣言型ポリシーを活用するには、CloudFormationやIaCの知識が必要。 - カスタマイズの限界
Managed Controlsは汎用性が高い反面、特定の要件に合わせた柔軟なカスタマイズには制限がある。 - 導入コスト
ポリシーの適用や管理を全面的に自動化する場合、初期導入における設定コストや時間がかかる可能性。
公式サイトのリンク
詳細については、AWS公式発表ページをご覧ください。
まとめ
AWS Control Towerの新機能であるManaged Controlsと宣言型ポリシーは、クラウド環境におけるセキュリティとガバナンスの強化に大きく寄与します。これにより、特にマルチアカウント運用や規制準拠が求められる企業にとって、運用の簡素化と効率化を実現します。ただし、学習コストやカスタマイズの限界を考慮しながら、導入を計画することが重要です。