AWS CloudFormationのドリフト対応チェンジセットで構成ドリフトを安全に管理

2025年11月発表

AWS CloudFormationのドリフト対応チェンジセットで構成ドリフトを安全に管理

はじめに

AWS CloudFormationは、インフラストラクチャの管理を自動化するための主要なサービスの一つであり、多くの企業がインフラストラクチャのコード(IaC)による運用を行っています。しかし、手動での調整などにより発生する構成ドリフトは、多くの運用上の課題を引き起こします。新たに発表されたドリフト対応チェンジセットは、この構成ドリフト問題を解決する画期的な機能です。本記事では、この新しい機能について詳しく解説し、利用シーンやメリット・デメリットについても探っていきます。

概要

AWS CloudFormationの新しい機能であるドリフト対応チェンジセットは、IaCテンプレートと実際のインフラストラクチャの状態を比較することで、ドリフトしたリソースをテンプレートに沿った状態に戻すことができます。これにより、AWS管理コンソールやSDK、CLIなどを介して変更されたインフラストラクチャが、テンプレートと不一致になる状況を防ぎます。この機能を利用することで、将来のIaCデプロイメントが意図しない変更を招くリスクを軽減し、インフラストラクチャのテストや災害復旧の再現性を高めることが可能になります。

詳細解説

構成ドリフトとは?

構成ドリフトとは、インフラストラクチャのステートがIaCテンプレートと一致しなくなる現象を指します。これは、緊急対応中の手動設定変更や、特定の理由による意図的な設定変更が原因で生じることがあります。ドリフトが発生すると、後続のデプロイメントにおいて予期せぬ問題が発生する可能性があり、セキュリティや運用に悪影響を及ぼします。

ドリフト対応チェンジセットの仕組み

従来のチェンジセットは、新しいテンプレートと最後にデプロイされたテンプレートの比較を行うものでしたが、ドリフト対応チェンジセットはこれに加え、実際のインフラストラクチャの状態も取り入れた三者比較を行います。これにより、IaCテンプレートの不一致を効果的に検出し、その修正が可能です。変更セットの実行中にプロビジョニングエラーが発生した場合、CloudFormationはインフラストラクチャを実際の状態に復元します。

チェンジセットの作成方法

ドリフト対応チェンジセットの作成は、CloudFormationコンソールを使うか、AWS CLIやSDKを通して実行できます。具体的には、既存のスタックに対してチェンジセットを作成し、チェンジセットタイプとして「ドリフト対応」を選択するか、CreateChangeSet APIに–deployment-mode REVERT_DRIFTパラメータを渡すことで実行します。

利用用途・ユースケース

– インフラストラクチャの緊急対応時の手動変更後の復元。
– セキュアなIaCテンプレートへの一致を強制する際の管理。
– テスト環境や災害復旧のための確実な再現性の確保。
– インフラストラクチャが未知の理由で接続不可能になった際のトラブルシューティング。

メリット・デメリット

  • メリット: ドリフトを自動的に修正でき、運用の効率を高める。
  • メリット: 不適切な変更を防ぎ、インフラストラクチャのセキュリティを維持する。
  • メリット: 簡単な操作で、IaCテンプレートとの一致を強化し、信頼性を向上させる。
  • デメリット: すべてのドリフトが意図的なものである可能性もあり、修正が望ましくない場合がある。
  • デメリット: 初期設定や、動作の理解に時間がかかる可能性がある。

まとめ

AWS CloudFormationのドリフト対応チェンジセットは、構成ドリフトを効果的に管理し、インフラストラクチャのテンプレート一致度を高める革新的な手法です。この新しい機能により、将来の予期せぬ変更への抵抗力が強化され、安定した運用が可能となります。AWS環境における信頼性と安全性を保ちながら、動的なインフラストラクチャ管理を実現します。

考察

この発表により、AWSユーザーや企業は、インフラストラクチャ運用における一層の効率化と信頼性の向上が期待できます。ドリフト対応チェンジセットは、運用中のサイレントエラーや計画外のデプロイ問題を軽減し、より安全で一貫性のあるインフラストラクチャ管理をサポートします。一方で、機能の有効活用には一定の技術理解が必要であるため、その導入に際しては新機能の特徴を十分に把握することが求められます。


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