AWSは、レガシーアプリケーションを最新のクラウド環境に移行するためのツールであるAWS Blu Ageにおいて、ノンマネージドランタイムのサポートを複数のリージョンで開始しました。Blu Ageは、COBOLやRPGといったレガシー言語で構築されたアプリケーションをJavaやSpringベースに変換し、AWS環境での稼働を実現するツールです。これまでBlu AgeはAWSのマネージドサービスとして提供されていましたが、今回のノンマネージドオプションにより、企業が独自の要件に合わせてランタイムを管理できる柔軟な環境が提供されました。ノンマネージドランタイムをサポートするリージョンが増えたことで、企業は地理的制約を受けることなく、レガシーアプリケーションのモダナイズを進めることができます。
新機能の概要
AWS Blu Ageのノンマネージドランタイムは、AWSのリソース上で直接稼働する構成で、ユーザーがランタイムのインフラや設定を自由に管理できます。これにより、企業はBlu Ageを利用して変換したアプリケーションを、AWSのフルマネージドサービスと組み合わせることなく、柔軟に運用できるようになります。さらに、Blu Ageのノンマネージドランタイムが複数のAWSリージョンでサポートされたことで、企業は事業の地理的要件や法規制に応じたデプロイが可能になりました。これは、特にAWSのマネージドサービスを利用できない規制のある業界や地域において、クラウド移行の障壁を取り除く重要な機能です。
想定される利用用途
- 金融機関のレガシーシステム移行:COBOLベースの金融システムをクラウド環境に移行しつつ、独自のインフラ要件に合わせた管理を実現。
- 製造業のサプライチェーンシステムのモダナイズ:製造業が長年運用してきたRPGベースのサプライチェーンシステムをAWS環境に移行し、運用の効率化とコスト削減を図る。
- 政府機関のデータセンターモダナイズ:政府機関の旧システムをAWSクラウドに移行し、法規制に応じた運用が可能。
- 医療機関でのデータ管理:COBOLベースの医療システムをAWS上で稼働させ、セキュリティとデータ保護を維持しながら、システムを最新化。
メリット
- 柔軟なランタイム管理:ノンマネージドランタイムにより、企業の独自の要件に基づいたランタイム管理が可能。
- 地域要件に対応:複数のリージョンでのサポートにより、地理的制約や規制対応が容易に。
- コスト削減:自社での管理により、マネージドサービスに伴う追加コストを削減できる場合がある。
- クラウド移行の加速:AWS Blu Ageを活用することで、レガシーアプリケーションを迅速にクラウドに移行でき、モダナイズが促進される。
デメリット・課題
- 管理の負担増:ノンマネージドランタイムは自社で管理が必要なため、運用負荷が増加する可能性がある。
- 技術的知識が必要:ランタイムの最適な管理には、クラウドインフラやランタイム管理に関する技術的な知識が求められる。
- コストの予測が難しい:自社管理の運用環境において、インフラ利用に伴うコスト変動が生じやすく、予算管理が難しい場合がある。
- サポートの制限:マネージドサービスと異なり、AWSからのサポートが制限される可能性があるため、自社内での問題解決が求められる。
まとめ
AWS Blu Ageのノンマネージドランタイムの複数リージョン対応により、レガシーアプリケーションのクラウド移行がより柔軟で効率的に進められるようになりました。金融、製造、医療、政府機関など、法規制や独自の運用要件を持つ業界にとって、AWS Blu Ageのノンマネージドオプションはクラウド移行の大きな支援となります。一方で、管理負担やコスト変動といった課題も考慮が必要です。適切な管理と技術的な対応力を持つことで、企業は柔軟かつ迅速にレガシーシステムのモダナイズを実現できるでしょう。
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