AWSネットワーク監視の向上を実現する新しいEFAメトリクス
はじめに
AWSはAI/MLおよび高性能コンピューティング(HPC)ワークロードのために、ネットワークの監視能力を向上させる新機能を発表しました。この機能強化はネットワークの問題をより迅速に特定・対処するために、Elastic Fabric Adapter(EFA)のメトリクスに焦点を当てています。これにより、コンピューティングリソースを効率的に利用し、高いパフォーマンスを維持することが可能となります。
概要
AWSはElastic Fabric Adapter(EFA)向けに5つの新しいメトリクスを導入しました。これらのメトリクスは、AI/MLおよびHPCワークロードにおけるネットワークオブザーバビリティを高めることを目的としています。新しいメトリクスはネットワークの遅延や設定の問題を診断するのに役立ち、例えば再送パケットや再送バイト、リトランスミットタイムアウトイベント、リモート接続の障害イベント、リモート受信側の非応答イベントなどを追跡します。
詳細解説
新しいメトリクスの内容
新たに追加されたメトリクスは以下の5つです:
– 再送パケット数
– 再送バイト数
– リトランスミットタイムアウトイベント数
– リモート接続障害イベント数
– リモート受信側の非応答イベント数
これらのメトリクスは、インスタンス起動時やドライバリセット時からカウントを開始し、`sys`ファイルシステムを介してインスタンスのコマンドラインからアクセス可能です。
監視と通知の強化
これらのメトリクスはPrometheusと連携可能で、Grafanaなどのサードパーティツールへのエクスポートやダッシュボード作成、アラーム設定を通じて、より詳細な監視と通知が可能になります。
対応環境と要件
新しいメトリクスはNitro v4以降のインスタンスでサポートされ、EFAインストーラーバージョン1.43.0以上が必要です。すべての商用AWSリージョン、AWS GovCloud (US)、および中国リージョンで利用可能です。
利用用途・ユースケース
これらのメトリクスはAI/MLやHPCワークロードにおいて、ネットワークの混雑やインスタンス設定の問題を早期に発見する手助けをします。特に、高負荷環境下でのアプリケーションパフォーマンスの維持や、システムダウンタイムの最小化に役立ちます。さらに、監視ソリューションを使って、問題発生時の迅速なアクションが可能になります。
メリット・デメリット
- メリット:
- ネットワーク問題の迅速な診断と解決が可能
- 詳細な監視とアラーム設定により、インシデント対応が迅速化
- AI/MLおよびHPCワークロードのパフォーマンス維持に貢献
- デメリット:
- EFAインストーラーバージョンやNitroインスタンスの要件があるため、環境の更新が必要な場合がある
- 追加の監視設定が必要となる場合がある
まとめ
AWSが導入したEFAの新しいメトリクスは、AI/MLおよびHPCワークロードのネットワーク監視を革命的に改善します。問題を迅速に特定し、プロアクティブな対応を可能にすることで、サービスのパフォーマンスを最適化します。ユーザーはこれらのメトリクスを使いこなすことで、運用環境の安定性を一段と向上させることができるでしょう。
考察
この新機能はAWSユーザーにとって大きな価値を提供します。特にAI/MLおよびHPCの利用者は、ネットワークのパフォーマンスや安定性を維持するために、これらのメトリクスを活用することで、業務の効率化やコスト削減が期待できます。ただし、環境によっては追加の設定やアップデートが必要となるため、計画的な管理が必要です。
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