AWS間のリージョン間通信を監視するAmazon CloudWatch Network Monitoringの新機能
はじめに
2025年9月、AWSはAmazon CloudWatch Network Monitoringに新たな機能を追加しました。この新機能により、AWSのグローバルネットワークを介したリージョン間のネットワークパフォーマンスを監視することが可能になりました。企業がAWSを利用する上で、ネットワークの健全性とパフォーマンスの監視は重要な要素です。この機能の追加により、ユーザーはネットワークの障害を迅速に検出し、それがワークロードに与える影響を評価できるようになりました。
概要
Amazon CloudWatch Network Monitoringの新しいコンポーネントである「フローモニター」は、AWSリージョン間のトラフィックのネットワークパフォーマンスをリアルタイムで監視する機能を提供します。この機能は、Amazon EC2やAmazon EKSといった計算リソース間のトラフィック、Amazon S3やAmazon DynamoDBといったAWSサービス間の通信において、そのパフォーマンスの状態を視覚化します。この新機能を利用することで、AWSのグローバルネットワークを介した通信がワークロードにどのような影響を与えているのかを迅速に把握できます。
詳細解説
フローモニターの機能
フローモニターは、AWSネットワーク上での通信の健全性を指標化し、これをネットワークヘルスインジケータ(NHI)として提供します。これにより、どの領域、すなわちローカルリージョン、AWSのグローバルネットワーク、またはリモートリージョンにおいて問題が発生しているかを迅速に特定できます。
ネットワークパフォーマンスの可視化
新たに追加された機能は、公共IPアドレス間の通信だけでなく、Amazon VPCピアリングやAWS Transit Gatewayピアリングを使ったプライベートトラフィックをもカバーします。これにより、異なるリージョン間でのプライベート通信におけるパフォーマンスを包括的に監視し、障害が発生しているエリアを明確に特定可能です。
利用用途・ユースケース
企業がこの新機能を活用する場面は多々存在します。例えば、複数のAWSリージョンにわたるグローバルなWebアプリケーションを運用する企業は、この機能を使用してエンドユーザーへのサービス提供に影響を与える可能性のあるネットワークの問題を特定し、速やかに対応できます。また、マルチリージョンにまたがるデータレプリケーションやバックアッププロセスでも役立ちます。
メリット・デメリット
- メリット:
- リアルタイムでのネットワークパフォーマンスの可視化が可能。
- AWSリージョン間のネットワーク障害の迅速な特定と対応。
- 複雑なワークロード環境下でもリスク管理がしやすくなる。
- デメリット:
- 新機能の学習と最適化には時間とリソースが必要。
- 全リージョンでの利用には追加の設定やリソース管理が求められる。
まとめ
AWSのネットワーク監視機能のアップデートにより、ユーザーはリージョン間通信をより効率的に監視できるようになりました。この機能は、リアルタイムのネットワークパフォーマンスデータを提供し、障害発生時の迅速な対応を可能にします。企業はこの新機能を活用することで、パフォーマンスの改善、運用の効率化、そして顧客満足度の向上を期待できます。
考察
この新機能は、AWSユーザーにとって大きなメリットをもたらします。特に、グローバルにビジネスを展開している企業にとって、ネットワークパフォーマンスの可視化は重要です。このアップデートにより、ネットワーク障害の早期発見と迅速な対応が可能となり、サービスの信頼性とパフォーマンスの向上が期待できます。しかし、導入には設定と学習のためのリソース投入が必要である点に留意する必要があります。
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