2024年11月、AWSはAmazon S3 Express One Zoneにおいて、S3ライフサイクルルールを使用したオブジェクトの有効期限設定をサポートすることを発表しました。この新機能により、データの保存期間を自動的に管理し、ストレージの効率化とコスト削減が実現します。
S3ライフサイクルルールとは？
S3ライフサイクルルールは、Amazon S3内のオブジェクトを効率的に管理するための設定機能です。特定の条件に基づいてオブジェクトを自動的に削除したり、ストレージクラスを変更したりすることができます。これにより、データのライフサイクルを最適化し、コストの削減が可能です。
Amazon S3 Express One Zoneにおいて、今回のアップデートにより以下のライフサイクルルールが設定可能となりました：
- オブジェクトの自動削除：指定日数が経過したオブジェクトを自動的に削除。
- 不完全なマルチパートアップロードの削除：未完了のマルチパートアップロードをクリーンアップ。
これらのルールを適用することで、ストレージコストの最適化とデータ管理の自動化を実現します。
新機能の特徴
1. 柔軟な削除ルール
- バケット全体、特定のプレフィックス、またはオブジェクトサイズに基づいてルールを設定可能。
2. 不完全なアップロードの管理
- 完了しなかったマルチパートアップロードを自動的に削除し、無駄なストレージ使用を防止。
3. コスト最適化
- 保存期間を管理することで、不要なデータを削除し、ストレージコストを削減。
4. CLIとSDKでの管理
- AWS CLIおよびSDKを使用してライフサイクルルールを設定・管理。
想定される利用用途
1. キャッシュデータの自動削除
一時的なキャッシュデータやログファイルを指定期間後に自動削除することで、不要なデータが蓄積するリスクを軽減。
2. 開発・テスト環境の管理
開発やテスト中に生成される短期間のみ必要なデータを自動的に削除し、ストレージを効率化。
3. 不完全なマルチパートアップロードのクリーンアップ
アップロード中断による無駄なデータを自動的に削除し、ストレージの利用効率を向上。
4. アーカイブストレージとの連携
一定期間保存後にデータを削除するルールを設定し、長期保存が不要なデータを効率的に管理。
メリット
1. コスト削減
不要なデータを自動的に削除することで、ストレージ使用量を削減し、運用コストを抑制。
2. 効率的なデータ管理
手動での削除作業を省き、自動化することで運用効率を向上。
3. セキュリティとコンプライアンス強化
保存期間を制限することで、データの適切な管理が可能となり、セキュリティリスクを低減。
デメリット
1. 設定の複雑さ
CLIやSDKを使用して設定する必要があり、技術的な知識が求められる。
2. 誤設定のリスク
設定ミスにより、必要なデータが意図せず削除される可能性があるため、慎重な管理が必要。
3. コンソールからの設定未対応
現時点ではAWSマネジメントコンソールからの設定がサポートされていないため、技術的なスキルが求められる。
利用方法
- AWS CLIまたはSDKのセットアップ
- AWS CLIまたはSDKを使用して、バケットにアクセス。
- ライフサイクルルールの設定
- JSON形式でルールを記述し、AWS CLIまたはSDKを使用して適用。
- テストと確認
- ルールの適用結果をテストし、意図通りに動作することを確認。
詳細な手順については、AWS公式ドキュメントをご覧ください。
まとめ
Amazon S3 Express One ZoneがS3ライフサイクルルールに対応したことで、ユーザーは不要なデータを自動的に削除し、ストレージコストを削減できるようになりました。特に、一時データやキャッシュファイルの管理に役立つこの新機能は、データ管理の効率化と運用の簡素化に大きく貢献します。ただし、誤設定によるリスクを回避するため、ルール適用には十分な確認と計画が必要です。
詳細は、公式発表ページをご覧ください。
