2024年11月、AWSはAmazon S3 Express One Zoneの提供地域を拡大しました。今回のアップデートにより、新たにアジアパシフィック(ムンバイ)、ヨーロッパ(アイルランド)、米国東部(オハイオ)の3つのリージョンで利用可能になり、これらの地域のユーザーはより高速でコスト効率の高いストレージソリューションを活用できるようになりました。
S3 Express One Zoneの概要
Amazon S3 Express One Zoneは、単一のアベイラビリティゾーン(AZ)でデータを保存するコスト効率の高いストレージクラスです。以下の特長を持ち、頻繁にアクセスされるデータやレイテンシーに敏感なアプリケーションに適しています。
主な特徴
- 高速なデータアクセス
- S3 Standardと比較してデータアクセス速度が最大10倍速く、レスポンスが重要なアプリケーションに最適。
- コスト効率
- リクエストコストが最大50%削減され、ストレージ費用を抑えつつ高いパフォーマンスを提供。
- 単一アベイラビリティゾーンでの保存
- 高いアクセス性(99.95%の可用性)を実現しつつ、冗長性を省略することでコストを削減。
新たに利用可能となったリージョン
今回のアップデートにより、以下の3リージョンでS3 Express One Zoneが利用可能になりました:
- アジアパシフィック(ムンバイ)
- ヨーロッパ(アイルランド)
- 米国東部(オハイオ)
これにより、S3 Express One Zoneを利用できるリージョンは合計7つとなり、より広範囲のユーザーに対応しています。
想定される利用用途
1. 機械学習のトレーニング
大量のデータを迅速に処理する必要がある機械学習モデルのトレーニングにおいて、低レイテンシーでデータにアクセス可能。
2. インタラクティブなデータ分析
リアルタイムのクエリ処理やダッシュボード更新に対応し、データ可視化やビジネスインサイトを素早く得ることができます。
3. メディアコンテンツの制作
動画編集やエフェクト処理など、大容量データを頻繁に読み書きするメディア制作に最適。
4. アプリケーションキャッシュ
頻繁にアクセスされるデータを低コストで保持し、高速アクセスを提供するキャッシュ用途。
メリット
1. コスト削減
リクエストコストを最大50%削減できるため、特に高頻度のデータアクセスが必要なユースケースで経済的な運用が可能。
2. 高パフォーマンス
最大10倍のデータアクセス速度で、アプリケーションのレスポンスを向上。
3. リージョンの選択肢拡大
新たな3リージョンで利用可能になり、ユーザーにとっての地理的な柔軟性が向上。
デメリット
1. データ耐久性の制約
単一のアベイラビリティゾーンにデータを保存するため、冗長性を重視するワークロードには不向き。
2. リージョン限定
すべてのAWSリージョンで利用可能ではないため、他の地域のユーザーには選択肢が限られる。
3. 利用用途の制限
高い耐久性や冗長性を必要とするミッション・クリティカルなデータには不向き。
利用開始方法
- バケットの作成 AWS Management ConsoleからS3バケットを作成し、ストレージクラスに「S3 Express One Zone」を選択。
- データ移行 データ転送ツールを使用して既存データを新しいバケットに移行。
- アクセスと監視 CloudWatchを活用して、データアクセスパフォーマンスと使用状況をモニタリング。
詳細な手順については、AWS公式ドキュメントをご覧ください。
まとめ
Amazon S3 Express One Zoneの提供リージョン拡大により、特にムンバイ、アイルランド、オハイオのユーザーは高速かつコスト効率の高いストレージソリューションを活用可能となりました。このストレージクラスは、低レイテンシーを必要とするアプリケーションやコストを重視するプロジェクトに適しており、ビジネスの俊敏性をさらに向上させます。
一方で、単一ゾーンでの保存に伴うデータ耐久性の制約を考慮し、ユースケースに応じた選択が必要です。
詳細は、公式発表ページをご覧ください。