Amazon QuickSight、Athenaダイレクトクエリ用に信頼されたID伝播を開始
はじめに
2025年7月、AWSはAmazon QuickSightにおけるAthenaダイレクトクエリデータセット用のTrust Identity Propagation(TIP)のサポートを発表しました。この新機能は、QuickSightからAmazon Athenaを使用してデータにアクセスする際に、Lake Formation Rulesを利用して詳細なアクセス制御を実現するのに役立ちます。これにより、同じダッシュボードを複数の顧客や部署で安全に活用できるようになりました。この発表により、QuickSightユーザーはさらなるデータ保護と制御を強化することができます。
概要
Amazon QuickSightは、ダイレクトクエリデータセットでAthenaデータソースと接続する際に、新しい信頼されたID伝播機能(TIP)のサポートを開始しました。この機能により、ユーザーはLake Formation Rulesを利用して、ダッシュボードを通じて表示されるクエリの行や列をコントロールし、データアクセスを詳細に制御することが可能になります。これにより、複数の顧客や部署で同じダッシュボードを使用でき、より効率的なデータ管理が可能となります。
詳細解説
信頼されたID伝播(TIP)とは
Trusted Identity Propagation(TIP)とは、データにアクセスする際に、ユーザーのIDを安全に伝播させる技術です。これにより、データアクセスに際してのユーザーごとの詳細なルール設定が可能となり、特にセキュリティやコンプライアンスが重要な環境で有効です。
Lake Formation Rulesの活用
TIPを活用することで、QuickSightのユーザーはAmazon Lake Formationのルールを使って詳細なデータアクセス制御を実施できます。例えば、特定のデータセットに対して許可されたユーザーのみがアクセスできるようにし、データの機密性を確保します。また、ユーザーがアクセスできるデータの行や列を制限することで、データの誤用を防ぎます。
QuickSightとAthenaの連携強化
以前から利用可能だったQuickSightとAthenaの連携機能に加え、新たにTIPのサポートによって、データアクセスの細かい調整が可能になりました。これにより、企業はセキュアなデータ分析の環境を提供することができます。
利用用途・ユースケース
TIP機能は、以下のようなシチュエーションで特に効果を発揮します:
– 複数部門が共通のダッシュボードを利用するケースで、各部門ごとのアクセス権限を設定する場合。
– 業種や職務によるデータアクセスの制御が必要な場合。
– データガバナンスが厳密に求められる金融や医療などの業界におけるデータ管理。
メリット・デメリット
- メリット
- 詳細なアクセス制御でセキュリティが向上する。
- Lake Formation Rulesとの統合により、データの保護と管理が容易になる。
- 様々なリージョンで利用可能で、グローバルな導入が可能。
- デメリット
- 設定が複雑になる可能性があり、初期導入時の学習コストが発生する。
- 他のデータソースとQuickSightを組み合わせた場合、TIPの効果が制限される可能性がある。
まとめ
Amazon QuickSightの新しいTIP機能は、データアクセスの制御と保護を強化するための重要なツールです。特に、機密性の高いデータを扱う組織にとって、セキュリティとコンプライアンスの両面で大きなメリットをもたらします。また、この機能は、データガバナンスが重要視される現代のビジネス環境において、企業がデータを安全にかつ効率的に活用するための基盤を提供します。
考察
Amazon QuickSightに搭載されたTIP機能は、データセキュリティとアクセス制御の強化を求める企業にとって、大きなメリットとなります。ユーザーごとの詳細なアクセス制御を可能にすることで、セキュアなデータ管理を実現しつつ、効率的な業務運営を支援します。しかし、この機能の導入には高度な知識と設定が必要であるため、特に大規模組織や複雑なデータ環境で活用する際は、専門的な支援を考慮する必要があるでしょう。
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