Amazon Managed Service for Prometheusでクエリインサイトとコントロール機能が登場

2025年5月発表

はじめに

Amazon Managed Service for Prometheus(以下、Amazon Managed Prometheus)は、完全に管理されたPrometheus互換の監視サービスであり、多くの企業が利用しています。今回、新たにクエリインサイトとクエリコントロールの機能が追加され、ユーザーは高コストのクエリを特定し、その実行を制限することが可能になりました。この機能は、クエリの種類を監視し、制御するための重要なツールとなります。プロメテウスクエリのコストを効率的に管理したい企業にとっては注目すべきアップデートです。本記事では、この新機能について詳しく解説します。

概要

Amazon Managed Prometheusの新しいクエリインサイトとコントロール機能は、PromQLクエリの実行を監視し、クエリコストを制御するための機能を提供します。特に高コストクエリに関しては、識別しログに記録することで、無駄なリソースの消費を防ぎます。また、管理者はHTTPヘッダーにエラースレッショルドを設定することで、高コストクエリの事前実行を防ぐことが可能です。この機能は、Amazon Managed Prometheusが利用可能なすべてのリージョンで提供されています。

詳細解説

クエリインサイト機能

クエリインサイト機能は、クエリのサンプル処理数(Query Samples Processed、以下QSP)を基準に、高コストクエリを特定します。ログはAmazon CloudWatchに記録され、PromQLクエリとその発信元(例えば、GrafanaのダッシュボードIDやアラートルール)に関するメタデータが含まれています。これにより、企業は具体的なクエリのコスト構造を把握しやすくなり、最適化のためのデータを得ることができます。

クエリコントロール機能

クエリコントロール機能は、クエリのコスト管理をさらに強化します。エラースレッショルドを設定することで、あらかじめ定められたコストを超えるクエリを実行前に制御することができます。また、ワーニングスレッショルドを設定すると、結果を返す際にユーザーに警告を示し、コストの意識を持たせることが可能です。このような制御は、APIの利用時にHTTPヘッダーで指定できます。

利用用途・ユースケース

この新機能は、以下のような企業や状況で利用価値があります。

– 高頻度のクエリ実行が行われ、大量のリソースが必要とされる環境
– クエリの最適化を調整し、無駄なリソース消費を抑えたい企業
– 特定のダッシュボードやアラートルールのコストを把握し、管理したい場合
– リソース消費のトラッキングが必要な監査シナリオ

メリット・デメリット

  • メリット:クエリのコスト管理が容易になり、無駄を減らすことができる。
  • メリット:ログに詳細なメタデータを含むため、分析やトラブルシューティングがしやすい。
  • デメリット:高度なクエリ管理機能が不要な小規模のプロジェクトには過剰な機能となる可能性がある。

まとめ

Amazon Managed Prometheusに新たに追加されたクエリインサイトとコントロール機能は、利用者がクエリのコストをより効果的に管理し、不要なリソース消費を避けられるようにするための強力なツールです。高コストのクエリを特定し、実行を制御することで効率的な運用が可能になります。この機能は、広範な管理ニーズを持つ企業にとって非常に価値がありますが、機能の複雑さが必ずしも全てのビジネスに適合するわけではない点に注意が必要です。新機能を活用して、より効率的な監視環境を構築しましょう。


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