Amazon Inspector、AWS Organizationsポリシーを利用した組織全体の管理に対応

2025年11月発表

Amazon Inspector、AWS Organizationsポリシーを利用した組織全体の管理に対応

はじめに

AWSは常にお客様のセキュリティと管理の作業を簡素化し、効率化するための新しい機能を提供し続けています。最近の発表により、Amazon InspectorがAWS Organizationsのポリシーを利用して、組織全体の管理が可能になりました。これにより、セキュリティの統一基準を維持しつつ、管理の手間を大幅に削減することができます。このブログ記事では、Amazon Inspectorの新機能について詳しく解説し、その利点や特定のユースケースについて考察していきます。

概要

Amazon InspectorはAWSの脆弱性管理サービスで、Amazon EC2インスタンス、コンテナイメージ、AWS Lambda関数、ソースコードリポジトリをスキャンし、ソフトウェアやコードの脆弱性、ネットワークの意図しない露出を検出します。最新のアップデートでは、AWS Organizationsポリシーを活用することで、Inspectorの設定や有効化を組織全体、もしくは特定の組織単位や個別のアカウントに対して一元的に管理できるようになりました。

詳細解説

Amazon Inspectorの組織ポリシー

AWS Organizationsポリシーを活用することで、Amazon Inspectorを組織のルート、特定の組織単位(OUs)、または個別のアカウント内で有効化し、設定を統一することができます。これにより、組織全体で一貫した脆弱性スキャンのカバレッジを実現できます。

ポリシーの設定と管理

組織全体にAmazon Inspectorを自動で展開するには、AWS OrganizationsコンソールでInspectorポリシーを有効化し、理想的なスキャンタイプ(EC2スキャン、ECRスキャン、Lambda標準スキャンなど)と地域を指定するポリシーを作成します。これにより、ポリシーが適用されたルートまたは組織単位に含まれるすべてのアカウントで、自動的にInspectorが有効になります。

自動継承と運用の効率化

新しく組織に参加したアカウントや、ポリシーが適用された組織単位に移動されたアカウントは、Inspectorの有効化を自動的に継承します。これにより、運用のオーバーヘッドを最小限に抑え、カバレッジの隙間を排除することが可能です。

利用用途・ユースケース

Amazon InspectorのAWS Organizationsポリシーによる管理は、以下のようなシナリオで特に有効です。
1. 大規模なAWS環境での統一したセキュリティポリシーの導入
2. サービスの迅速な展開と管理の簡素化
3. セキュリティ基準の監査やコンプライアンス対応の強化

メリット・デメリット

  • メリット
    • 一元管理によるセキュリティポリシーの統一と自動化
    • 新規アカウントの自動適用による運用負担の軽減
    • カバレッジの一貫性と漏れの防止
  • デメリット
    • 組織全体の管理が前提となるため、小規模な環境では効果を感じにくい
    • AWS Organizationsに精通していない場合、導入時の初期設定が複雑になる可能性

まとめ

Amazon InspectorのAWS Organizationsポリシー対応により、組織全体のセキュリティ管理は一層効率的かつ一貫性のあるものとなります。特に大規模な組織において、多数のアカウントをまたいでの脆弱性管理をシンプルかつ自動化できる点が大きな利点です。新しい機能を活用すれば、セキュリティ基準の統一が簡単になり、管理に割くリソースを最小化した上でセキュリティを強化することが可能です。

考察

今回のAmazon Inspectorのアップデートは、多くのAWSユーザーにとって非常に有益です。特に大規模で多様なアカウントを持つ企業では、一貫したセキュリティ基準の維持が難しいことが多いため、ポリシーの自動適用機能は大きな助けとなります。一方で、小規模な環境やAWS Organizationsに慣れていないユーザーにとっては、導入時の難易度を考慮する必要があるかもしれません。それでも、長期的には管理の効率化や運用負担の軽減が期待できるため、見逃せないアップデートと言えるでしょう。


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