Amazon GuardDutyの新機能「カスタムエンティティリスト」で脅威検出を強化
はじめに
AWSは、新たにAmazon GuardDutyにおける「カスタムエンティティリストによるカスタム脅威検出」の一般提供開始を発表しました。この新機能により、GuardDutyは既存のカスタムIPリストを超えたドメインベースの脅威インテリジェンスを統合することが可能になります。これにより、独自のカスタム脅威リストに定義された悪意のあるドメインやIPアドレスを用いて脅威を検出することができます。また、信頼できるソースからのアラートを抑制することも可能です。この記事では、その機能と利点について詳しくご紹介します。
概要
今回発表された「カスタムエンティティリスト」は、Amazon GuardDutyにおける脅威検出機能を大幅に強化するものです。新たに導入されたこのリストは、IPアドレスやドメイン、あるいはその両方を含むことが可能で、より包括的な脅威インテリジェンスの統合を実現します。さらに、新しい検出タイプである「Impact:EC2/MaliciousDomainRequest.Custom」が導入されており、カスタム脅威リストに関連するドメインの活動が検出された際にトリガーされます。この機能は、全てのAWSリージョンで利用可能ですが、中国リージョンおよびGovCloud(US)リージョンは除外されます。
詳細解説
カスタムエンティティリストの特長
カスタムエンティティリストは、従来のカスタムIPリストに比べてより柔軟性が高くなっています。リストには、任意のIPアドレス、ドメイン、あるいはその両方が含まれるため、多様な脅威インテリジェンスの統合が可能です。これにより、GuardDutyの脅威検出能力が向上し、より幅広い脅威を検出することができます。
新しい検出タイプの導入
今回のアップデートで新たに追加された検出タイプ「Impact:EC2/MaliciousDomainRequest.Custom」は、カスタム脅威リストに基づくドメイン活動を検出するとトリガーされるものです。この機能により、特定の脅威をより迅速に認識し、適切な対応を行うことができます。
アラート抑制の最適化
カスタムエンティティリストでは、信頼できるソースからのアラートを抑制する機能も提供されています。これにより、アラートの数を効果的に制御し、本当に必要なアラートに集中することができます。この機能により、運用効率が向上し、セキュリティリソースがより有効に活用されます。
利用用途・ユースケース
この新機能は、以下のようなシナリオで効果を発揮します。
– 既存の脅威インテリジェンスデータを統合して、特定の業界や地域に固有の脅威を検出する。
– 信頼できるパートナー間で共有される脅威情報を活用して、より精度の高い脅威検出を実現する。
– 特定のキャンペーンやトレンドに基づく脅威検出戦略を適用して、リスクを最小化する。
メリット・デメリット
- メリット
- 脅威検出の精度が向上する。
- 柔軟な脅威インテリジェンスの統合が可能。
- 信頼できるソースからのアラート抑制による効率的な運用。
- IAMポリシーのサイズ制限に影響を与えないシンプルな権限管理。
- デメリット
- 中国リージョンおよびGovCloud(US)リージョンでは未対応。
- カスタムリストのメンテナンスが必要で、運用の手間が増加する可能性。
まとめ
Amazon GuardDutyの新機能である「カスタムエンティティリスト」により、脅威検出の精度と柔軟性が向上しました。この新機能は、ユーザーのカスタムニーズに応じた脅威インテリジェンスの統合を可能にし、サイバーセキュリティ対策の強化を図ります。GuardDutyユーザーは、信頼できるソースからのアラートを抑制しながら、特定の脅威を迅速に検出して適切に対応することができます。これにより、運用効率が向上し、AWS環境のセキュリティをさらに強化することができます。
考察
今回のアップデートにより、AWSユーザーはより柔軟で精度の高い脅威検出が可能となり、セキュリティ運用の効率化が実現します。特にカスタムインテリジェンスの統合は、ユーザーに即した脅威検出戦略を実施する上で非常に有益です。ただし、カスタムリストのメンテナンスが必要となるため、運用負担も考慮に入れる必要があります。
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