Amazon Elastic VMware Service (Amazon EVS) の一般提供開始
はじめに
AWSは新たにAmazon Elastic VMware Service(Amazon EVS)の一般提供を開始しました。これは、Amazon Virtual Private Cloud(Amazon VPC)内でVMware Cloud Foundation(VCF)を直接実行できるサービスです。Amazon EVSは、AWSのスケール、弾力性、パフォーマンスを活用しながら、既存のVCFソフトウェアやスキルをそのまま使い続けることができます。この発表により、企業はアプリケーションの移行時にプラットフォームの再構築や再設計をする必要がなくなります。
概要
Amazon Elastic VMware Service (Amazon EVS) は、AWS上でVMwareの仮想化技術を直接活用できる新しいサービスです。ユーザーは既存のVCFのソフトウェアスキルをそのままAWSに移行することができ、既存インフラの制約から解放されて、より柔軟にリソースを管理することが可能になります。また、ユーザーはAWSのスケールやパフォーマンスを最大限に利用しつつ、VCF環境に対するフルアクセス権を保持し、独自の要件に応じて仮想化スタックを最適化することができます。
詳細解説
Amazon EVSの特徴
Amazon EVSは、AWSのインフラストラクチャとVCFを統合するシームレスなプラットフォームを提供します。これにより、ユーザーはVMware環境のセルフマネージメントを行うか、AWSパートナーに管理・運用を依頼する選択肢があります。また、ライセンスポータビリティの恩恵を受け、既存のVCFライセンスをAmazon EVSでも使用可能です。
柔軟な消費モデル
このサービスは、オンデマンド、1年間、3年間の柔軟な消費モデルを提供し、コスト最適化の機会を広げています。特に、長期的な計画を立てる企業にとって、リソースの利用管理が格段にしやすくなる利点があります。
技術的なサポートと機能
Amazon EVSは、i4i.metalインスタンス上で動作し、VCFの最新バージョン(5.2.1)をサポートしています。また、このサービスは、ジェネラティブAIやコンピュート、ストレージ、データベースといった200以上のフルサービスとの統合を容易にしています。
利用用途・ユースケース
Amazon EVSは、オンプレミス環境をAWSに移行しつつ、既存のVMwareスキルを継続して使用したい企業に最適です。また、既存のVCF環境を維持しつつ、AWSの高い性能と柔軟性を活用して仮想化スタックを最適化したい場合に役立ちます。従来からのVMware環境のスケーラビリティを向上しつつ、不測の事態に備えたバックアップやディザスタリカバリのソリューションも簡単に統合できます。
メリット・デメリット
- **メリット**
- 既存のVCFスキルとソフトウェアをそのまま使用できる
- AWSの広範なサービスとの統合による拡張性と柔軟性
- ライセンスポータビリティによるコスト削減
- 消費モデルが柔軟
- **デメリット**
- 対応地域が限定されている(現在6地域)
- 初期の導入と運用に対する費用がかかる可能性
まとめ
Amazon EVSの一般提供開始は、AWSユーザーにとってVMware環境のAWS移行を容易にし、新たな技術的可能性を広げるものです。既存のVCFインフラを活用しながら、AWSの利点を享受できるこのサービス。柔軟な消費モデルや統合機能が充実しているため、コストや運用効率の観点からも大変魅力的です。今後このサービスを活用することで、多くの企業が迅速かつ効率的にクラウド環境へとシフトできることでしょう。
考察
Amazon Elastic VMware Serviceは、AWSへの新たな進出を目指す企業にとって、移行の障壁を大幅に下げる存在となります。しかし、適用可能な地域が限定されているため、今後のエリア拡大が期待されます。AWSの拡張性とスケーラビリティを最大限に活かしつつ、既存のVMware技術を維持する利用形態が普及していくことが予想されます。
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