Amazon EC2 R8iおよびR8i-flexインスタンスの新たなリージョン展開について

2025年9月発表

Amazon EC2 R8iおよびR8i-flexインスタンスの新たなリージョン展開について

はじめに

AWS(Amazon Web Services)は、クラウドコンピューティングにおける市場リーダーとして、常に新しいインスタンスの提供を続けています。今回、Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)のR8iおよびR8i-flexインスタンスが、アジア太平洋リージョン(マレーシア、シンガポール)およびヨーロッパ(フランクフルト)に新たに展開されたことで、より多くの地域のユーザーが最新のテクノロジーを活用できるようになりました。これにより、特にメモリ集約型アプリケーションを扱うビジネスにとって、大きなメリットが期待されます。

概要

2025年9月から、Amazon EC2のR8iおよびR8i-flexインスタンスが新たにアジア太平洋地域(マレーシア、シンガポール)とヨーロッパ(フランクフルト)で利用可能になりました。これらのインスタンスは、AWS専用のカスタムIntel Xeon 6プロセッサを搭載しており、同様のクラウド上のIntelプロセッサと比較しても、最高のパフォーマンスと最速のメモリ帯域幅を提供します。

詳細解説

性能とコストパフォーマンス

R8iおよびR8i-flexインスタンスは、前世代のIntelベースのインスタンスに比べて最大15%のコストパフォーマンス向上を実現しています。メモリ帯域幅は2.5倍に増強され、R7iインスタンスと比較すると20%の性能向上が見込まれます。特定のワークロードに対しては、さらに大きな性能向上が期待され、PostgreSQLデータベースで最大30%、NGINXウェブアプリケーションで最大60%、AIディープラーニング推奨モデルで最大40%の速度改善が可能です。

インスタンスの種類と仕様

R8i-flexは、メモリ最適化された初のフレックスインスタンスであり、メモリ集約型ワークロードの大多数に対して価格性能上の利点を提供します。サイズは通常のlargeから16xlargeまで揃っており、すべての計算リソースを完全に活用する必要がないアプリケーションには最適です。R8iインスタンスは、特に最大サイズのインスタンスや継続的な高CPU使用量が必要なワークロードに適しています。13種類のサイズがあり、2つのベアメタルと新しい96xlargeサイズが最大のアプリケーション向けです。これらのインスタンスは、SAP認定を受けており、ミッションクリティカルなSAPワークロードに対する優れたパフォーマンスを提供します。

導入方法と購入オプション

AWS Management Consoleにサインインすることで、利用をすぐに開始できます。顧客は、Savings Plans、オンデマンドインスタンス、スポットインスタンスを通じて、これらのインスタンスを購入することが可能です。より詳細な情報はAWSの公式Webサイトにて確認できます。

利用用途・ユースケース

– データベース管理システムの効率化: 高速なメモリとCPUパフォーマンスにより、メモリアクセスが頻繁なデータベース(例: PostgreSQL)の性能が向上します。
– AIおよび機械学習: AIディープラーニングモデルのトレーニングや推論に最適です。
– Webアプリケーション: 高いスループットと低遅延が求められるウェブサーバー(例: NGINX)のホストに適しています。
– SAPワークロード: SAP HANAなどのミッションクリティカルなアプリケーションに対し、特に優れた性能を発揮します。

メリット・デメリット

  • メリット:
    • 高いメモリ帯域幅と優れた性能向上
    • 多用途に対応するフレキシブルなインスタンスサイズ
    • SAP認定により信頼性を確保
  • デメリット:
    • 新たに指定された地域での利用に限られる
    • セットアップや最適化に専門知識が必要となる場合がある

まとめ

Amazon EC2のR8iおよびR8i-flexインスタンスが新たな地域で利用可能になったことは、AWSプラットフォームを利用する多くの企業にとって大きなステップです。特に、メモリ集約型のアプリケーションをより高い性能で運用できる機会が増えたことは歓迎すべき改善です。これにより、ビジネスの効率性が大幅に向上し、コスト削減の可能性も広がります。また、SAPを利用する企業にとっては、オンプレミスだけでなくクラウド環境でも高いパフォーマンスを維持できるインスタンスとして注目されています。

考察

今回の発表は、AWSユーザーにとって地域的なリソースの最適化と柔軟性の向上をもたらします。特に、メモリ集約型ワークロードを抱える企業にとっては、コスト効率とパフォーマンスの観点から非常に有益です。ただし、新たに利用可能になった地域のユーザーのみに恩恵があるため、他の地域での展開が望まれるところです。また、高度なセットアップが必要な場合があるため、適切な技術サポートが求められます。


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