Amazon EC2 R7iインスタンスがアジアパシフィック(ハイデラバード)リージョンで利用可能に
はじめに
AWSは常に、その技術とサービスの最前線を駆け抜け、世界中のユーザーに向けて新たな可能性を開拓しています。この度、Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)のR7iインスタンスが新たにアジアパシフィック(ハイデラバード)リージョンで利用可能となりました。これにより、より強力で効率的なコンピューティング環境が提供され、特にメモリー集約型のワークロードを抱える企業にとって有益な選択肢となります。本記事では、このR7iインスタンスの特長や利用用途、そしてメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
概要
Amazon EC2 R7iインスタンスは、AWSが開発した4世代目のIntel Xeon Scalableプロセッサ(コードネーム:Sapphire Rapids)によって支えられています。このインスタンスは他のクラウドプロバイダーが利用する比較対象となるx86ベースのIntelプロセッサに対して最大15%の性能向上を実現しています。さらに、R6iインスタンスと比較しても価格性能比が15%向上しており、SAP、SQLおよびNoSQLデータベース、分散ウェブスケールのインメモリキャッシュ、そしてリアルタイムのビッグデータ分析、たとえばHadoopやSparkなどのメモリー集約型ワークロードに最適です。
詳細解説
4世代Intel Xeon Scalableプロセッサ採用
このR7iインスタンスは、AWS独自の4世代Intel Xeon Scalableプロセッサを採用しています。このプロセッサの特徴として、インメモリアナリティクスやデータストリーミングアクセラレーションが可能なことが挙げられます。こうした特徴が、さらなるパフォーマンス向上を図っています。
高性能ベアメタルインスタンス
R7iインスタンスは、最大で48xlargeという非常に大きなインスタンスサイズを持ち、メタル-24xlおよびメタル-48xlの2つのベアメタルサイズを提供しています。これにより、高トランザクションおよび低レイテンシ環境に対する優れたパフォーマンスを実現します。また、IntelのQuickAssist Technologyによってデータ操作を効率的にオフロードし、作業の効率化を行います。
拡張されたEBSアタッチメント
R6iインスタンスでは28までのEBSボリュームがアタッチ可能でしたが、R7iインスタンスでは128まで可能となり、より大規模なデータの処理やワークロードの拡張が可能です。これにより、パフォーマンスのさらなる向上が期待できます。
Intel Advanced Matrix Extensions(AMX)サポート
R7iインスタンスでは、新たにIntel AMXをサポートしており、特にCPUベースの機械学習アプリケーションにおいて行列計算の高速化が可能となっています。これにより、高度な計算を要するアプリケーションでも効率的な運用が可能です。
利用用途・ユースケース
– メモリー集約型ワークロード向け: SAP HANA、SQL/NoSQLデータベース
– リアルタイムビッグデータ解析: Hadoop、Spark
– 高トランザクション/低レイテンシ要求のあるアプリケーション
– CPUベースの機械学習アプリケーション
メリット・デメリット
- メリット
- 最大15%の性能向上による効率的な処理
- 128EBSボリュームまでの拡張可能性
- 高速なインメモリアナリティクス対応
- デメリット
- ハイデラバードリージョン限定の提供開始という地域的な制約
- ベアメタルサイズの選択が限定的である
まとめ
Amazon EC2 R7iインスタンスの拡張により、特にメモリーを重視するワークロードを抱えるユーザーにとって、AWSの提供するパフォーマンスおよびコスト効率がさらに向上しました。新たにサポートされた技術や拡張された機能により、AWSユーザーはより幅広いシナリオでこれらのインスタンスを活用できるようになりました。今後のビジネス成長においても、この新しい選択肢は戦略的なアセットとなるでしょう。
考察
今回のR7iインスタンスの提供は、特にアジアパシフィック地域のAWSユーザーにとって、よりスケーラブルで高性能なインフラを導入する絶好の機会を提供します。特にメモリー集約型のワークロードにおいて、インフラコストの削減と同時にパフォーマンスの向上が見込まれるため、さまざまな業界での導入が期待されます。しかし、リージョン限定の提供開始であるため、他の地域でも早期の展開が求められます。
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