はじめに
2025年6月、Amazon Web Services(AWS)は、Amazon EC2 I4iインスタンスのAWSヨーロッパ(スペイン)リージョンでの利用を発表しました。これは特に、大規模なI/O集約型ストレージワークロードに最適化されており、3世代目のIntel Xeon Scalableプロセッサ(Ice Lake)により駆動されます。これにより、AWSのNitro NVMe SSDを活用した高いローカルストレージのパフォーマンスを実現しています。この記事では、これらの新しいインスタンスの概要、特徴、そして具体的なユースケースについて詳しく解説します。
概要
Amazon EC2 I4iインスタンスは、AWSが提供する最新のインスタンスであり、特にストレージパフォーマンスが求められるアプリケーションに適しています。このインスタンスでは、第3世代Intel Xeon Scalableプロセッサを使用しており、最大30TBのNVMeストレージが利用可能です。さらに、Torn Write Prevention(TWP)機能により、データベーストランザクションを秒単位で向上させつつ、レジリエンシーを妥協しません。これらは、高性能かつ高可用性が求められるデータベースで特に効果を発揮し、MySQL、Oracle DB、Microsoft SQL Serverなどのリレーショナルデータベースや、MongoDB、Couchbase、Aerospike、RedisなどのNoSQLデータベースにも最適です。また、ネットワーク帯域幅は最大75Gbps、Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)へは最大40Gbpsの帯域幅を提供します。
詳細解説
I4iインスタンスの技術的特性
I4iインスタンスは、AWSのNitroシステムを活用し、最大30TBまでのNVMeローカルストレージを提供します。このストレージは、高速データアクセスと処理を必要とするワークロードに対して、低レイテンシーのI/Oパフォーマンスを実現します。特に、金融取引、科学的計算、リアルタイム分析などの状況でその真価を発揮します。
Torn Write Prevention機能の利点
Torn Write Prevention(TWP)は、データベースのトランザクションを安全に高速化するための技術です。これはデータベースの整合性を維持しつつ、書き込み性能を向上させるため、システム全体の信頼性と効率を大幅に高めます。
ネットワーク性能の向上
I4iインスタンスは、最大75Gbpsのネットワーク帯域幅を提供し、大規模なデータ転送を短時間で行うことが可能です。これは、データ集約型アプリケーションやリアルタイムデータ分析において重要な要素です。
利用用途・ユースケース
– **データベースサーバー**: I4iインスタンスは、MySQL、Oracle、SQL Serverなどのリレーショナルデータベースに最適であり、高いI/O性能が求められる場面で能力を発揮します。
– **NoSQLデータベース**: MongoDB、Couchbase、RedisなどのNoSQLデータベースにおいても、短時間で大量のデータをやり取りする必要があるため、I4iのローカルNVMeストレージとネットワーク性能は非常に効果的です。
– **リアルタイム分析とデータ処理**: 科学的コンピューティングや分析系アプリケーションなど、リアルタイムでの大量データ処理が求められるシーンに適しています。
– **金融取引プラットフォーム**: ナノ秒単位のレイテンシーが必要な金融トランザクションも、I4iの高速性能により支援されます。
メリット・デメリット
- **メリット**:
– 高性能なI/O性能と低レイテンシーを提供します。
– フレキシブルな価格設定が可能で、Savings Plans、Reserved、On-Demand、Spotインスタンスから選択できます。
– さまざまなデータベースや分析ワークロードに適しています。 - **デメリット**:
– 特定のワークロードに特化しているため、すべてのユースケースに適するわけではありません。
– 他のローコストインスタンスと比べると、コストパフォーマンスの見極めが必要です。
まとめ
Amazon EC2 I4iインスタンスは、高いI/O性能とローカルストレージの能力を活かしたインスタンスであり、多くのデータベース、およびストレージ集約型アプリケーションで効果を発揮するでしょう。特にAWSヨーロッパ(スペイン)リージョンでの提供開始により、当地域における企業はより柔軟にAWSの性能を活用できるようになります。これにより、データ集約ビジネスの効率向上と競争力強化が期待されます。AWSの豊富なインスタンスタイプの中でも、新たな選択肢としてI4iインスタンスを検討する価値は大いにあります。
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