2024年11月、AWSはAmazon EC2 G6eインスタンスの提供リージョンを拡大しました。新たにアジアパシフィック(東京)、ヨーロッパ(フランクフルトおよびスペイン)のリージョンで利用可能となり、これらの地域のユーザーに高度なGPUパフォーマンスを活用した計算リソースが提供されます。G6eインスタンスは、機械学習や生成AI、大規模シミュレーションなどの負荷の高いワークロードに最適化されています。
G6eインスタンスの特長
Amazon EC2 G6eインスタンスは、次世代GPUを活用した高性能インスタンスで、以下の特長を備えています。
1. 最先端のGPU技術
G6eインスタンスは、NVIDIA L40S Tensor Core GPUを搭載し、最大8基のGPUが利用可能です。これにより、最大384GBのGPUメモリを提供し、並列計算や大規模データ処理に最適です。
2. 高い計算能力
- 第3世代AMD EPYCプロセッサを採用し、最大192 vCPUをサポート。
- 400 Gbpsのネットワーク帯域幅と1.536TBのメモリを搭載。
- 最大7.6TBのローカルNVMe SSDストレージを提供。
3. コスト効率
推論コストはP4dインスタンスと比較して最大20%削減されており、高性能を維持しながらコストを最適化できます。
利用可能なリージョンと購入オプション
以下のリージョンでG6eインスタンスが利用可能です:
- 米国東部(バージニア北部、オハイオ)
- 米国西部(オレゴン)
- アジアパシフィック(東京)
- ヨーロッパ(フランクフルト、スペイン)
購入オプションは以下の通りです:
- オンデマンドインスタンス
- リザーブドインスタンス
- スポットインスタンス
- Savings Plans
これにより、使用状況やコストに応じた柔軟な選択が可能です。
想定される利用用途
1. 大規模言語モデル(LLM)のデプロイ
- 最大130億パラメータの大規模言語モデルを効率的に展開可能。生成AIによる文章生成や質問応答システムの構築に最適。
2. 生成AIの活用
- 画像、動画、音声の生成を行う拡散モデルや、クリエイティブツールのリアルタイム処理をサポート。
3. 3Dシミュレーションとデジタルツイン
- 空間コンピューティングを活用した大規模シミュレーションや、製造業でのデジタルツインの作成と管理。
4. 高性能データ分析
- GPUアクセラレーションを活用したリアルタイムのデータ分析とインサイト抽出。
メリット
1. 高いパフォーマンス
従来のG5インスタンスと比較して最大2.5倍の性能を提供し、複雑な計算を迅速に処理可能。
2. コスト削減
推論コストを最大20%削減し、より予算内での利用が可能に。
3. 柔軟な拡張性
GPUの数やリソース要件に応じたインスタンス選択が可能で、スケーラブルな運用を実現。
デメリット
1. 学習コスト
新しいインスタンスとGPUの特性を理解するための学習が必要で、運用チームのトレーニングが必要となる場合があります。
2. 初期設定の手間
既存の環境からの移行や設定変更には一定の労力が必要です。
3. リージョン依存
対応リージョンが限定されているため、利用可能地域外のユーザーには制約となる可能性があります。
利用開始方法
- AWS Management Consoleでインスタンス作成
- 対応リージョンを選択し、G6eインスタンスを起動。
- GPUアクセラレーションの最適化
- NVIDIAドライバをインストールし、フレームワーク(PyTorch、TensorFlowなど)を設定。
- コスト管理
- Savings Plansやスポットインスタンスを活用し、コスト効率を最大化。
詳細な利用方法は、AWS公式ドキュメントをご参照ください。
まとめ
Amazon EC2 G6eインスタンスのリージョン拡大により、東京やヨーロッパのユーザーも最先端のGPU技術を活用可能になりました。生成AIや大規模言語モデル、3Dシミュレーションなどの高負荷ワークロードに対して、コスト効率の高いソリューションを提供します。一方で、新規導入時の学習コストや初期設定の手間が課題となるため、事前の計画が重要です。
詳細は、公式発表ページをご覧ください。