AWSは、新たにAmazon EC2 オンデマンドキャパシティ予約における請求の共有機能を提供開始しました。この機能により、組織やビジネスユニット間でキャパシティ予約のリソースを共有し、コストを柔軟に分配することが可能です。オンデマンドキャパシティ予約は、特定のアベイラビリティゾーンにおいて確実にインスタンスキャパシティを確保するための機能ですが、これまで一つのアカウントでしかリソースを使用できない制限がありました。この新機能により、複数のアカウントで予約済みのインスタンスを共有できるようになり、リソースの効率的な活用が可能となります。
新機能の概要
Amazon EC2のオンデマンドキャパシティ予約は、アベイラビリティゾーンにおける確実なキャパシティ確保を提供するサービスです。今回の新機能により、AWS Organizationsにおける複数アカウントでキャパシティ予約を共有し、各ユニットのコストを柔軟に配分できるようになりました。これにより、リソースの使用状況に基づきコストを個別に割り当てることが可能で、予算管理がより効率化されます。また、オンデマンドインスタンスのコスト予測が立てやすくなり、全体的なキャパシティ計画が強化されます。
想定される利用用途
- 大規模プロジェクトのリソースシェア:組織内の複数部門やチームが同じ予約済みリソースを活用し、リソースの最適な共有を実現。
- 予算管理の効率化:特定プロジェクトやビジネスユニット単位でのキャパシティ利用状況を把握し、必要に応じてコスト配分を柔軟に管理。
- 可用性が重要なワークロード:ミッションクリティカルなワークロードにおいて、確実なキャパシティ確保が必要な際にキャパシティ予約を共有。
- 開発・テスト環境のスムーズな運用:テスト・開発用インスタンスの需要が高い場合でも、オンデマンドキャパシティ予約を共有することでリソース不足を回避。
メリット
- 効率的なリソース利用:リソースの共有により、予約済みインスタンスを最大限に活用し、コストの無駄を削減。
- 予算管理とコスト配分の簡素化:プロジェクトやビジネスユニットに基づく柔軟なコスト配分が可能で、予算管理がしやすい。
- 計画的なキャパシティ管理:キャパシティ予約を活用しつつ、使用率に応じた予測が立てやすく、安定したリソース計画が可能。
- 柔軟なキャパシティ運用:需要の高い環境やクリティカルなワークロードでも、確実にリソースを共有・確保できる。
デメリット・課題
- 管理の複雑化:複数アカウントでの予約管理が増えると、リソース管理が複雑になり、適切な監視が必要となる。
- コスト増加の可能性:オンデマンドキャパシティ予約に基づくリソース利用が高まると、全体のコストが増加する可能性がある。
- 依存性の増加:AWS Organizationsによる一元管理が前提となるため、他のクラウドやオンプレミス環境での利用が制限される。
- 設定の手間:キャパシティ予約の共有設定やコスト配分の最適化には初期設定の手間がかかる場合がある。
まとめ
Amazon EC2のオンデマンドキャパシティ予約における請求の共有機能の導入により、企業はリソースの有効活用と効率的なコスト管理を実現できるようになりました。組織内の複数アカウントでリソースを共有できるため、プロジェクトやチーム間でのリソース利用の偏りが減少し、コストの無駄が削減されます。予算管理が求められる大規模プロジェクトやミッションクリティカルなワークロードにおいても、この新機能は有効です。一方で、管理の複雑化やAWS環境への依存性といった課題も考慮しつつ、導入前に計画的な準備が求められます。
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