2024年11月、AWSはAmazon EC2のプロビジョニング制御を強化する新機能を発表しました。この機能により、オンデマンドキャパシティ予約（ODCR）を指定してインスタンスを起動できるようになり、リソースの利用効率がさらに向上します。特に、高可用性が求められるアプリケーションや需要が変動するシナリオで、リソース管理がより簡単かつ効果的に行えるようになりました。
オンデマンドキャパシティ予約（ODCR）とは？
ODCR（オンデマンドキャパシティ予約）は、特定のアベイラビリティーゾーンでAmazon EC2インスタンスのキャパシティを事前に確保するための機能です。この機能により、ビジネスクリティカルなアプリケーションを必要なタイミングで確実に稼働させることができます。
主な特徴：
- 期間限定でキャパシティを予約可能
必要な期間だけリソースを確保でき、柔軟性が高い運用を実現。 - 高可用性の保証
混雑したリソース状況でも予約したキャパシティを確保。 - リソースの計画管理が容易
定期的なイベントやピーク時の需要に対応するためのリソース準備が可能。
新機能の詳細
今回のアップデートで、以下の操作において特定のODCRをターゲットに指定することができるようになりました：
- RunInstances API
インスタンス起動時に、ターゲットとするキャパシティ予約を指定可能。 - Launch Templates
特定のODCRを使用するテンプレートを作成して、繰り返し利用できる設定。 - Auto Scaling Groups
キャパシティ予約を対象としたスケーリングを自動化。
これにより、特定のODCRを活用しながら効率的にインスタンスを展開できるようになります。
想定される利用用途
1. 高可用性アプリケーションのデプロイ
特定のキャパシティ予約を利用することで、ビジネスクリティカルなアプリケーションの稼働を確実に保証し、サービス停止リスクを最小限に抑えます。
2. 需要が予測されるイベント対応
ブラックフライデーや大型キャンペーンのような期間中に、特定のキャパシティを予約して対応することで、急激な需要増加にも耐えられる運用を実現します。
3. コスト効率の改善
未使用のキャパシティ予約を優先的に活用することで、リソースの無駄を削減し、コスト効率を最大化します。
4. リソース管理の効率化
Auto Scaling GroupsでODCRを指定することで、動的な需要変動にも柔軟に対応可能。
メリット
- リソース利用の最適化
特定のキャパシティ予約をターゲットにすることで、リソースの無駄遣いを防ぎます。 - 柔軟なスケーリング
Auto Scaling Groupsで需要に応じたスケーリングが簡単に行えます。 - シームレスな導入
RunInstances APIやLaunch Templatesを活用することで、既存のワークフローに容易に組み込むことが可能です。 - 高い信頼性
混雑したアベイラビリティーゾーンでも、予約したキャパシティを確実に利用できます。
デメリット
- 設定の複雑さ
キャパシティ予約の適切な管理が求められ、設定ミスによるリソース不足や過剰が発生する可能性があります。 - 追加コストの可能性
未使用のキャパシティ予約に対してもコストが発生する場合があるため、計画的な利用が重要です。 - リージョン依存性
この機能はすべてのAWSリージョンで利用できるわけではなく、一部のリージョンでは非対応です（中国リージョンなど）。
まとめ
AWSの新たなプロビジョニング制御機能により、オンデマンドキャパシティ予約を活用した効率的なリソース管理が可能となりました。高可用性を重視するアプリケーションや、需要変動に対応する必要があるシナリオに最適です。一方で、適切な設定と運用が求められるため、計画的な導入が重要です。
詳細は、公式発表ページをご覧ください。
