2024年12月1日、Amazon Web Services(AWS)は、コンタクトセンター向けの生成AIアシスタントであるAmazon Q in Connectに対し、AIガードレール機能を導入したことを発表しました。これにより、企業は自社のユースケースや責任あるAIポリシーに基づき、生成AIの応答内容を制御・管理することが可能となります。
アップデートの概要
新たに導入されたAIガードレール機能により、コンタクトセンターの管理者は以下の設定を行うことができます。
- 有害・不適切な応答のフィルタリング: 生成AIが提供する応答から、有害または不適切な内容を除外します。
- 個人情報のマスキング: 応答内に含まれる可能性のある個人識別情報(PII)を自動的に編集・マスキングします。
- 誤情報の制限: 大規模言語モデル(LLM)のハルシネーションによる誤情報が応答に含まれないよう制御します。
これらのガードレールは、エンドカスタマー向けのセルフサービスシナリオにおいて、Amazon Q in Connectの応答内容を企業関連のトピックに限定し、プロフェッショナルなコミュニケーション基準を維持するために活用できます。また、エージェントがAmazon Q in Connectを利用して顧客対応を行う際、これらのガードレールはエージェントへの個人情報の不適切な露出を防止します。管理者は、これらのガードレールを柔軟に設定し、異なるコンタクトタイプに対して選択的に適用することが可能です。
想定される利用用途
- カスタマーサポートの品質向上: エージェントが顧客対応時に、適切で安全な情報のみを提供することで、顧客満足度を向上させる。
- セルフサービスチャネルの安全性確保: 顧客がセルフサービスで情報を取得する際、不適切な内容や誤情報が含まれないよう制御する。
- コンプライアンス遵守の強化: 個人情報保護や業界規制に対応するため、応答内容を適切に管理・制御する。
- エージェントトレーニングの効率化: 新任エージェントが適切な情報を提供できるよう、ガードレールを活用してサポートする。
メリット
- 応答品質の一貫性: ガードレールにより、すべての顧客対応で高品質かつ一貫した情報提供が可能となる。
- セキュリティリスクの低減: 個人情報の不適切な露出を防ぐことで、セキュリティリスクを最小限に抑える。
- 誤情報の防止: LLMのハルシネーションによる誤情報の提供を制限し、信頼性の高い情報提供を実現する。
- 柔軟な設定: 管理者は、企業のニーズやポリシーに合わせてガードレールをカスタマイズし、特定のコンタクトタイプに適用できる。
デメリット
- 設定の複雑性: ガードレールの適切な設定には、専門的な知識や時間が必要となる場合がある。
- 応答の制限: ガードレールが厳しすぎると、生成AIの柔軟性や創造性が制限される可能性がある。
- 初期導入コスト: 新機能の導入や設定に伴うコストやリソースの投入が必要となる。
- 継続的なメンテナンス: ガードレールの効果を維持するためには、定期的な見直しや更新が求められる。
まとめ
Amazon ConnectのAmazon Q in Connect向けAIガードレールの導入は、コンタクトセンターにおける生成AIの応答品質と安全性を大幅に向上させるものです。これにより、企業は顧客対応の一貫性を維持しつつ、セキュリティやコンプライアンスの要件を満たすことが可能となります。ただし、導入に際しては設定の複雑性や初期コストなどの課題も考慮する必要があります。今後、これらのガードレール機能がさらに進化し、より多くの企業での活用が期待されます。
公式サイトはこちら: Amazon Connect、Amazon Q in Connect向けAIガードレールを発表