Amazon CloudWatch クロスアカウントおよびクロスリージョンログ集中管理の開始

2025年9月発表

Amazon CloudWatch クロスアカウントおよびクロスリージョンログ集中管理の開始

はじめに

AWSは、クラウドコンピューティングの分野で常に革新を続けていますが、今回のAmazon CloudWatchの新機能はその一例です。AWSはユーザーに、複数のAWSアカウントとリージョンからログデータを単一のデスティネーションアカウントにコピーするクロスアカウントおよびクロスリージョンログ集中管理機能を提供開始しました。この機能はAWS Organizationsとシームレスに統合されており、大規模な分散ワークロードのログ管理を大幅に簡素化します。

概要

Amazon CloudWatchに新たに追加されたこの機能は、複数のAWSアカウントおよびリージョンにまたがるログデータを中央のアカウントに集約するためのものです。ユーザーは、オーガナイゼーション全体、特定のOU(組織単位)、または選択したアカウントからのログデータを単一のアカウントに集約するルールを設定することが可能です。これにより、カスタムソリューションを管理する必要がなく、効率的なログ管理が保障されます。

詳細解説

機能の特徴

Amazon CloudWatchの新機能により、クロスアカウントおよびクロスリージョンでのログの集中管理が可能になります。この機能には以下の特徴があります:

– **ログイベントの強化**: 新しいシステムフィールド(@aws.accountと@aws.region)が追加され、元のソースアカウントとリージョンを識別できます。
– **選択的なロググループのコピー**: 特定のロググループのみを選んでコピーすることが可能です。
– **自動マージ機能**: 目的のアカウントにおいて、同名のロググループが自動的にマージされます。
– **バックアップリージョンの設定**: 任意でバックアップリージョンを設定することができ、中央管理がより柔軟になります。

対応リージョンと料金

この機能は、以下のリージョンで利用可能です:米国東部(オハイオ、バージニア北部)、米国西部(カリフォルニア北部、オレゴン)、アジア太平洋(ムンバイ、大阪、ソウル、シンガポール、シドニー、東京)、カナダ(中部)、ヨーロッパ(フランクフルト、アイルランド、ロンドン、パリ、ストックホルム)、南米(サンパウロ)。

料金に関しては、ログの集中管理の初回は無料ですが、追加のコピーには0.05 USD/GBの料金が発生します。バックアップリージョン機能も追加コピーと見なされます。

利用用途・ユースケース

この機能は主に以下のようなシナリオで有効です:

– **企業全体の監視強化**: 大規模なエンタープライズ環境で、複数のアカウントやリージョンを跨いでログを集中管理することで、セキュリティ監視やコンプライアンスの審査を効率化できます。
– **効率的なトラブルシューティング**: バラバラのアカウントやリージョンに分散しているログデータを一元化することで、問題のトラブルシューティングを迅速に行えます。
– **データライフサイクル管理**: 単一のデスティネーションアカウントに集約されたログをもとに、データの破棄、保持、アーカイブを一元化して管理しやすくなります。

メリット・デメリット

  • シームレスな統合によるログ管理の簡素化
  • セキュリティと監視の強化
  • 一元管理によりトラブルシューティングの効率化
  • 初回のログ集中管理は無料だが、追加コピーには料金が発生
  • 対応リージョンが限定されている

まとめ

Amazon CloudWatchのクロスアカウントおよびクロスリージョンログ集中管理は、AWS環境をより効率的に監視・管理するための強力なツールです。さまざまなアカウントやリージョンにまたがるログデータを一元化することで、セキュリティの強化やコストの削減が見込めます。特にグローバルに事業を展開する企業にとっては、ログ管理の手間を大幅に減らし、ビジネスの俊敏性を高めるでしょう。

考察

この新機能は、AWSユーザーにとって大きな効率化をもたらすと共に、セキュリティ向上にも寄与します。ただし、初回以外の集中管理にはコストがかかるため、コスト管理には注意が必要です。また、対応リージョンが限られているため、ビジネスのニーズに対応するリージョンでの利用可否を確認することが重要です。


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