2024年11月、AWSは Amazon CloudWatch Real User Monitoring (RUM) に新たに パーセンタイル集計機能 を追加しました。この機能により、Web アプリケーションのパフォーマンスやユーザー体験のトラブルシューティングがさらに効率化されます。特にユーザーごとの遅延やエラーの特定が重要な場面で、より詳細かつ精度の高いデータ分析が可能になります。
主な特徴
1. パーセンタイル集計の導入
- トランザクションやユーザーセッションごとの遅延や応答時間をパーセンタイル単位で分析。
- 50th(中央値)、75th、90th、99th パーセンタイルを活用して、異常値やパフォーマンスボトルネックを特定。
2. リアルタイム監視
- ユーザー体験に関するリアルタイムデータを取得し、問題発生時の迅速な対応が可能。
3. 可視化の強化
- パーセンタイルデータをグラフやダッシュボードで視覚化し、直感的に問題を理解。
4. Amazon CloudWatch と統合
- CloudWatch ダッシュボードを通じて、他のアプリケーションモニタリングデータと統合した一元管理。
想定される利用用途
1. Web アプリケーションのパフォーマンス管理
- フロントエンドからバックエンドまでの遅延を分析し、ユーザー体験を改善。
2. モバイルアプリケーションのトラブルシューティング
- モバイル環境での特定デバイスやネットワーク状況におけるパフォーマンスの偏差を特定。
3. 高トラフィックアプリケーションの運用
- 多くのユーザーがアクセスする e コマースサイトや SaaS アプリケーションのパフォーマンス維持。
4. システム間通信の遅延分析
- 複雑なマイクロサービスアーキテクチャにおけるレスポンスタイムの問題特定。
メリット
1. 迅速な問題解決
- パーセンタイル単位でデータを可視化することで、異常値や隠れた問題を容易に特定。
2. ユーザー体験の向上
- 高遅延セッションの原因を特定し、改善策を迅速に適用することで、ユーザーの満足度を向上。
3. 効率的な運用
- 直感的なダッシュボードを利用して、効率的にデータを分析し、運用チームの負担を軽減。
4. 他の AWS サービスとの統合
- CloudWatch Logs や S3 など、他の AWS サービスとシームレスに連携可能。
デメリット
1. 設定の学習コスト
- 新しいパーセンタイル機能をフル活用するには、設定やデータ解釈のスキルが必要。
2. コスト増加の可能性
- 大量のデータを処理するため、使用量に応じた料金が増える場合がある。
3. リアルタイム処理の負荷
- トラフィックが集中する場面では、データ処理の負荷が増大する可能性。
まとめ
Amazon CloudWatch RUM のパーセンタイル集計機能は、Web アプリケーションやモバイルアプリケーションの運用における強力な武器となります。特に、ユーザー体験を重視する企業にとって、問題の迅速な特定と解決が可能になり、運用コスト削減にも寄与します。一方で、導入には初期設定の学習や運用コストの管理が必要です。
詳しくは公式ページをご覧ください:
Amazon CloudWatch RUM にパーセンタイル集計機能が登場