2024年11月、AWSはAmazon CloudWatch Logsに新しい機能を追加しました。それは、フィールドインデックスとロググループ選択機能の強化です。これにより、大規模な環境でのログ分析がさらにスムーズになり、システム運用のトラブルシューティングやパフォーマンス最適化が効率化されます。
この記事では、この新機能の概要、利用シナリオ、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
フィールドインデックス機能とは?
フィールドインデックスは、特定のログフィールド(例:transactionId
やuserId
など)をインデックス化する機能です。これにより、クエリの実行速度が飛躍的に向上します。たとえば、トランザクションIDをインデックス化しておけば、関連するログを瞬時に検索できるようになります。
主な特徴
- 高速クエリ:特定フィールドに基づくログ検索が効率化。
- 柔軟な運用:ロググループごとに最大20のフィールドインデックスを作成可能。
- インデックス保持期間:デフォルトで30日間。
この機能は、ログ量が膨大なシステムで特に効果を発揮します。
ロググループ選択機能の強化
今回のアップデートでは、CloudWatch Logs Insightsのロググループ選択機能が強化され、最大10,000のロググループを対象にクエリを実行できるようになりました。また、複数アカウント間でのログクエリ実行にも対応しており、分散環境での運用管理がさらに簡単になります。
想定される利用用途
この新機能は、以下のようなシナリオで特に有用です:
- 大規模分散システムの監視
数千のロググループを持つマイクロサービス環境で、一元的にログを分析可能。 - トラブルシューティングの迅速化
特定のリクエストやトランザクションを迅速に特定して問題を解決。 - クロスアカウントでのログ分析
AWS Organizationsを利用している企業が、複数アカウントの運用状況を統合的にモニタリング。 - 規模の大きい運用環境の効率化
高いスケーラビリティにより、ログ分析を効率化。
メリット
- クエリパフォーマンスの向上
フィールドインデックスにより、特定の条件に基づくクエリが迅速化。 - 運用の効率化
最大10,000のロググループを対象に、単一のクエリで分析が可能。 - コスト効率の改善
フィルター機能を活用して不要なデータのスキャンを回避することで、分析コストを削減。 - スケーラブルな分析環境
大規模な分散システムにも対応できる拡張性。
デメリット
- インデックス保持期間の制約
インデックスデータは最大30日間しか保持されないため、長期的なログ分析には不向き。 - 設定と管理の複雑さ
フィールドインデックスやクロスアカウントのクエリ設定には専門的な知識が必要。 - コスト増加の可能性
大規模なクエリや頻繁な分析が必要な場合、コストが増える可能性がある。
まとめ
Amazon CloudWatch Logsに追加された新機能、フィールドインデックスとロググループ選択の強化は、ログ分析の効率性と速度を大幅に向上させます。特に、複雑で大規模な分散システムを運用する企業にとって、トラブルシューティングやパフォーマンスの最適化が一段と容易になります。
一方で、初期設定や運用管理の手間、保持期間の制約には注意が必要です。この機能を活用することで、システム運用の効率化を実現してみませんか?
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