AWSは2024年11月、Amazon CloudWatch Logsにおいて、新しいログ変換と強化機能を発表しました。この新機能により、ログデータを一貫性のある形式に変換し、重要なコンテキストを付加することが可能になります。これにより、複数ソースからのデータを簡単に統合し、分析効率が飛躍的に向上します。
ログ変換と強化機能の概要
Amazon CloudWatch Logsの新機能は、ログデータの処理をシンプルにし、より洞察的な分析を可能にするために設計されています。
主な特徴
- ログデータの標準化
- 異なるフォーマットや属性名を持つログを一貫性のある形式(例:JSON形式)に変換。
- AWS WAFやRoute53などの事前構成済みテンプレートを利用して、特定のサービスに最適化された構造を追加。
- カスタムトランスフォーマー
- Grokなどのパーサーを使用し、独自の変換ロジックを設定可能。
- ユーザー独自のルールでログを再フォーマットし、分析の準備を自動化。
- メタデータの付加
- アカウントID、リージョン、タイムスタンプなどのコンテキスト情報をログデータに追加。
- 既存属性のリネーム
- 分析ツールで扱いやすいように属性名を変更し、データの一貫性を確保。
利用可能なリージョンと料金
サポートされるリージョン
この機能は、すべてのAWS商用リージョンで利用可能です。
料金
- 追加コストなし:標準ログクラスのインジェスト料金に含まれています。
- 注意点:変換後のログサイズが増加した場合、保存コストが追加される可能性があります。
利用方法
設定手順
- ロググループの選択
- Amazon CloudWatchコンソールでロググループを選択します。
- トランスフォーマーの設定
- コンソールまたはAWS CLIを使用して、テンプレートを適用、またはカスタムトランスフォーマーを作成します。
- 結果の確認
- 変換後のログデータが正しく処理され、保存されていることを確認。
詳細な手順は、公式ドキュメントをご参照ください。
想定される利用用途
1. セキュリティ監視
- 異なるフォーマットのセキュリティログを標準化し、迅速な脅威検出を可能に。
2. コンプライアンス監査
- ログデータにアカウントIDやリージョン情報を追加し、監査プロセスを効率化。
3. アプリケーションパフォーマンス監視
- 複数サービスのログを統合し、システム全体のパフォーマンスを可視化。
4. 運用トラブルシューティング
- 標準化されたログ形式により、問題の根本原因分析が迅速化。
メリット
- データ標準化の効率化
- 異なる形式のログを統一フォーマットに変換し、クエリや分析が簡素化。
- コンテキストの追加
- メタデータを付加することで、ログデータの解釈が容易に。
- 設定の柔軟性
- テンプレートの利用とカスタムトランスフォーマーの作成により、多様なニーズに対応。
- 運用負荷の軽減
- 手動でのデータ変換作業が不要になり、運用効率が向上。
デメリット
- 保存コストの増加
- 変換後のログサイズが増加する場合、アーカイブコストが増える可能性。
- 初期設定の手間
- カスタムトランスフォーマーの作成には一定のスキルと時間が必要。
- 学習コスト
- 新機能の習得や最適化のために、初期段階でのトレーニングが必要。
まとめ
Amazon CloudWatch Logsのログ変換と強化機能により、ログデータの標準化と分析の効率化が大幅に進化しました。セキュリティ監視、コンプライアンス、パフォーマンス監視など、幅広い用途での活用が期待されます。一方で、保存コストや初期設定の負荷には注意が必要です。
詳細については、公式発表ページをご確認ください。