2024年11月、AWSはAmazon CloudWatch Internet Monitorに新機能を追加し、特定のAWS Local ZonesでのVPCサブネット監視をサポートしました。この新機能により、Local Zonesにデプロイされたアプリケーションのインターネットトラフィックパフォーマンスを詳細に監視し、最適化のためのアクションを提案できます。
本記事では、この新機能の概要、利用用途、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
Amazon CloudWatch Internet Monitorとは?
Amazon CloudWatch Internet Monitorは、AWS上で動作するアプリケーションのインターネットパフォーマンスを監視するサービスです。ユーザーとアプリケーション間の通信を可視化し、異常なネットワーク遅延や障害を特定することが可能です。
今回のアップデートでは、特定のAWS Local ZonesにデプロイされたVPCサブネットも対象に、インターネットパフォーマンスの監視が可能になりました。
新機能の概要
1. AWS Local Zonesの対応
以下のLocal ZonesでのVPCサブネットが新たにサポートされました:
- us-east-1-dfw-2a(ダラス)
- us-east-1-mia-2a(マイアミ)
- us-east-1-qro-1a(ケレタロ)
- us-east-1-lim-1a(リマ)
- us-east-1-atl-2a(アトランタ)
- us-east-1-bue-1a(ブエノスアイレス)
- us-east-1-mci-1a(カンザスシティ)
- us-west-2-lax-1a(ロサンゼルス)
- us-west-2-lax-1b(ロサンゼルス)
- af-south-1-los-1a(ラゴス)
これにより、これらのLocal Zonesで動作するアプリケーションのパフォーマンスをリアルタイムで監視可能となりました。
2. トラフィック最適化提案
「Optimize」タブを使用して、Local Zonesを含むインターネットトラフィックの最適化提案を確認できます。これにより、現在の構成を他のLocal Zonesと比較し、最適なデプロイメントを選択できます。
想定される利用用途
1. 低レイテンシーアプリケーションの運用
ユーザーに近いLocal Zonesにデプロイされたアプリケーションのトラフィックパフォーマンスを監視し、最適化。たとえば、動画ストリーミングやオンラインゲームでの利用が想定されます。
2. グローバルなパフォーマンス監視
複数のLocal Zonesを活用して、ユーザーがいる地域に最適化されたサービスを提供。
3. トラフィック分析と最適化
複数のゾーン間でパフォーマンスを比較し、より効率的なトラフィックルートを選定。これにより、リソースコストの削減とパフォーマンス向上が期待できます。
メリット
1. 詳細なトラフィック可視化
Local Zonesにおけるトラフィックの状態をリアルタイムで監視し、異常を早期発見できます。
2. 最適化提案によるパフォーマンス向上
Internet Monitorが提供する提案を活用して、アプリケーションのトラフィックパフォーマンスを最適化可能。
3. ユーザー体験の向上
ユーザーに最適化された通信を提供することで、遅延を削減し、快適なサービス利用を実現します。
デメリット
1. 利用可能なLocal Zonesが限定的
現時点で対応するLocal Zonesは限られており、他の地域での利用には制約があります。
2. 設定の複雑さ
最適化提案を活用するためには、Internet Monitorの設定やトラフィックパターンの理解が必要です。
3. 追加コストの可能性
高度なトラフィック監視と最適化の利用に伴い、サービスコストが増加する可能性があります。
まとめ
Amazon CloudWatch Internet Monitorの新機能により、Local ZonesでのVPCサブネットのトラフィック監視が可能になり、アプリケーションのパフォーマンスをさらに向上させる手段が提供されました。特に、低レイテンシーが求められるアプリケーションや、地域ごとの最適化が必要なサービスでの活用が期待されます。
ただし、対応するLocal Zonesが限られている点や設定の複雑さには注意が必要です。利用前に公式ドキュメントを確認し、適切な活用計画を立てることをおすすめします。