AWSは、Amazon CloudFrontと**AWS WAF (Web Application Firewall)**でブロックされたリクエストに対する課金ルールの変更を発表しました。これにより、WebアプリケーションやAPIのセキュリティ対策を強化するために、ブロックされたリクエストも課金対象となります。従来は許可されたリクエストに対してのみ課金が発生していましたが、今回の変更でブロックリクエストも課金対象に加わることにより、Webアプリケーションのセキュリティ設計と運用において新たな管理が求められます。
新たな課金ルールの概要
今回の課金ルールの変更により、AWS WAFでブロックされたリクエストについてもCloudFrontの課金対象となります。主な特徴は以下の通りです:
- ブロックリクエストへの課金:WAFルールでブロックされたすべてのリクエストが課金対象に追加。
- リクエストの詳細な管理が重要に:不正アクセスや不要なリクエストが増加するとコストが増加するため、リクエスト管理がこれまで以上に重要。
- セキュリティとコストのバランスが必要:セキュリティ強化とコスト最適化のバランスを考えたWAFルール設定が求められる。
- リアルタイムな分析で無駄を削減:WAFログの分析やモニタリングにより、不要なリクエストの発生源を特定し、ブロック設定の見直しを行うことが推奨される。
これにより、Webアプリケーションのセキュリティを高めるだけでなく、コストに対する意識も高める必要が生じます。
想定される利用用途
- Eコマースサイトのセキュリティ強化:不正なアクセスやスパムリクエストが多発するEコマースサイトにおいて、WAFによるブロック設定を強化し、攻撃から守る。
- メディアサイトのトラフィック管理:動画やニュースメディアサイトに対して増加するボットリクエストを効果的にブロックし、パフォーマンスとコストの最適化を図る。
- API管理のセキュリティ向上:APIエンドポイントへの不要なアクセスをWAFでブロックし、システム負荷とコストを抑制。
- 企業内システムの保護:業務システムを保護するためにWAFを使用してブロックリクエストを管理し、不正アクセスのリスクとコストを最小限に抑える。
メリット
- 高度なセキュリティ対策:不正アクセスやDDoS攻撃に対する対策を強化することで、Webアプリケーションのセキュリティが向上。
- リクエスト管理の精度向上:課金対象が拡大したことで、不要なリクエストを正確にブロックするための設定が見直され、リクエスト管理の精度が向上。
- コストの可視化:ブロックリクエストにも課金が発生することで、リクエスト管理とセキュリティ設定のコストが明確に。
- 攻撃源の特定が容易:WAFログの分析を行うことで、不正アクセスの発生源を特定しやすくなり、セキュリティ対策の精度が高まる。
デメリット・課題
- コストが増加する可能性:ブロックされたリクエストにも課金が発生するため、WAFルールの設定によってはコストが増加するリスクがある。
- セキュリティとコストのバランス調整が必要:ブロックリクエストの数が多い場合、セキュリティとコストのバランスを慎重に管理する必要がある。
- リクエストの正確な分析が必要:不要なリクエストの発生源を特定し、ブロックルールを最適化するためには、ログ分析やモニタリングが重要。
- 複雑な設定管理:WAFルールの設定や監視が複雑化するため、運用負担が増加する可能性がある。
まとめ
Amazon CloudFrontとAWS WAFでブロックされたリクエストが課金対象となったことで、Webアプリケーションのセキュリティ設計において新たな管理が求められるようになりました。この変更により、企業はリクエスト管理の精度を高めると同時に、コストへの配慮が不可欠です。特にEコマースやメディア、API提供企業など、トラフィックが集中しやすいサービスにおいて、リクエストの分析と管理を強化することで、不正アクセスのリスクを減らし、コストの最適化が期待されます。一方で、コスト増加のリスクもあるため、WAFルールの設定や監視の強化が必要です。AWS WAFとCloudFrontのリクエスト管理を見直すことで、効果的なセキュリティとコスト管理を実現し、より安全なクラウド環境を維持できるでしょう。
詳細は公式ページをご覧ください。