Amazon CloudFront、新たに3つのCloudFront Functions機能を発表

2025年11月発表

Amazon CloudFront、新たに3つのCloudFront Functions機能を発表

はじめに

Amazon CloudFrontは、優れたパフォーマンスと信頼性を提供するコンテンツ配信ネットワーク(CDN)として、多くの企業に利用されています。この度、CloudFrontが発表した新機能により、開発者はエッジコンピューティングの可能性をさらに広げることができます。具体的には、エッジロケーションおよびRegional Edge Cache (REC) メタデータ、生のクエリ文字列の取得、高度なオリジンオーバーライドがサポートされるようになりました。本記事では、これらの新機能がどのようにしてコンテンツ配信やセキュリティポリシーのカスタマイズを可能にするかを解説します。

概要

Amazon CloudFrontは、3つの新しいCloudFront Functions機能を発表しました。これにより、開発者はCloudFrontのインフラへの可視性を高め、オリジン接続をより精密かつ細かく制御できるようになります。具体的には、次の3つの機能が追加されました:

1. エッジロケーションおよびRegional Edge Cache (REC) メタデータ
2. 生のクエリ文字列の取得
3. 高度なオリジンオーバーライド

これらの機能はすべて、サブミリ秒でスクリプトを実行できるエッジロケーションでのJavaScriptコードの実行性能を損なうことなく利用可能です。

詳細解説

エッジロケーションおよびRegional Edge Cache (REC) メタデータ

この機能により、エッジロケーションやRECに関するメタデータにアクセスが可能になります。たとえば、サービングエッジロケーションの三文字の空港コードや、予想されるREC情報を取得することが可能です。これにより、特定地域に所在するユーザー向けにジオベースのコンテンツルーティングを実現できます。たとえば、欧州のGDPR準拠のオリジンにユーザーをリダイレクトする、といった使い方が考えられます。

生のクエリ文字列の取得

標準のクエリ文字列解析では変換されてしまう特別な文字やエンコードを保持した状態で、生のクエリ文字列にアクセスすることができます。クエリ文字列解析の自由度が増すことで、視聴者から受信したクエリ文字列をそのまま使用することが可能になり、これまで以上に柔軟なコンテンツ配信を実現します。

高度なオリジンオーバーライド

複雑なアプリケーションインフラでの課題を解決するため、この機能によりSSL/TLSハンドシェイクのパラメータ(例えばServer Name Indication(SNI)など)をカスタマイズできます。マルチテナント環境では、異なる証明書ドメインを持つサーバーに接続する際にCNAMEチェーンを経由してオリジナルのSNIをオーバーライドするなどのユーズケースがございます。

利用用途・ユースケース

これらの新機能は、以下のようなシナリオで活用が期待されます:

– 地域特定のコンテンツを配信し、法律遵守やユーザー体験向上を図る。
– 高度にカスタマイズされたクエリ文字列解析を必要とするアプリケーションの最適化。
– 複数のテナントや証明書ドメインを持つ複雑なアプリケーションインフラでのSSL/TLSハンドシェイクの管理。

メリット・デメリット

  • メリット:サブミリ秒でのスクリプト実行による高いパフォーマンスを維持しつつ、エッジコンピューティングの可能性を拡大。
  • メリット:法令遵守やユーザー体験向上に貢献する地域特定のコンテンツルーティング。
  • メリット:高度なカスタマイズが可能になり、特に複雑なインフラでの運用が容易に。
  • デメリット:複雑な機能の導入には学習コストがかかる可能性。
  • デメリット:すべてのユースケースに適合するわけではなく、特定の専門知識が必要となる場合がある。

まとめ

Amazon CloudFrontが提供する新しいCloudFront Functions機能は、エッジコンピューティングの可能性を大きく広げる重要なアップデートです。エッジロケーションメタデータを用いたコンテンツルーティング、生のクエリ文字列を活用した柔軟なデータ処理、高度なオリジンオーバーライドによるSSL/TLS管理など、様々なシナリオでの性能向上が期待されます。これらの機能が全てのCloudFront提供エッジロケーションで追加料金なしで利用可能という点も、大きな魅力です。

考察

この最新機能のリリースは、AWSユーザーにとって大きなアドバンテージをもたらします。特に、法令遵守やパフォーマンスの向上を目指す企業にとって、コンテンツデリバリーの柔軟性が高まることは大きなメリットです。しかし、これらの高度な機能をフルに活用するためには、適切な設計と導入が求められるため、事前の計画と専門的な知識が求められる点には注意が必要です。


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