Amazon RDS for OracleでRedo Transport Compressionのサポートを開始

2025年8月発表

Amazon RDS for OracleでRedo Transport Compressionのサポートを開始

はじめに

Amazon RDS for OracleがRedo Transport Compressionをサポートすることとなり、AWSユーザーにとってデータベースの可用性とパフォーマンスの向上が期待されます。Redo Transport Compressionは、スタンバイデータベースへのトランスポート時にリドゥデータを圧縮する機能です。この革新的な機能により、ネットワーク上のデータ転送量を削減し、リカバリーポイントオブジェクティブ(RPO)の向上を実現します。本記事では、Redo Transport Compressionの概要や技術的な詳細、利用用途、そしてユーザーにとってのメリット・デメリットを解説します。

概要

Amazon RDS for Oracleの新機能であるRedo Transport Compressionは、リドゥログデータを転送する際にデータを圧縮し、ネットワーク帯域幅の効率を向上させます。この圧縮機能により、ネットワークを介してスタンバイデータベースに送信されるデータ量が減少し、パフォーマンスが改善されます。結果として、障害発生時にデータ損失を最小限に抑えるRPOが低下します。この機能は、Oracle Enterprise EditionとOracle Advanced Compression Licensingを必要とし、すべてのAWSリージョンで使用可能です。

詳細解説

Redo Transport Compressionの仕組み

Redo Transport Compressionを有効にすることで、リドゥデータの圧縮が行われ、スタンバイデータベースへの転送時に使用されるネットワーク帯域を削減します。これにより、データの転送速度が向上し、より迅速なログ複製が可能になります。

影響とCPUリソースの考慮

圧縮と非圧縮のプロセスは、プライマリおよびスタンバイデータベースのCPUリソースを使用します。したがって、ユーザーは十分なCPUキャパシティを確保しておく必要があります。それによって、圧縮のオーバーヘッドが原因でシステムパフォーマンスに悪影響を与えないようにできます。

設定手順

Redo Transport Compressionを使用するには、データベースインスタンスのパラメータグループでredo_compressionパラメータを設定します。この設定は、マウントされたレプリカおよびリードレプリカの両方で利用可能です。

ライセンス要件

この機能を利用するには、Oracle Enterprise Editionの一部であるOracle Advanced Compression Licensingが必要です。このため、Oracleデータベースの既存のライセンスを確認し、必要なライセンス契約を考慮する必要があります。

利用用途・ユースケース

Redo Transport Compressionは、大規模なデータベース環境や、高速で安全なデータレプリケーションを必要とするシステムにおいて特に有用です。特に、以下のユースケースにてその効果を発揮します:

– 高可用性システムにおけるデータ損失のリスク最小化
– 複数リージョンにわたるデータレプリケーション
– ネットワーク帯域幅の制約がある環境での効率化

メリット・デメリット

  • メリット
    • ネットワークトラフィックの削減により、転送速度が向上
    • RPOの低下によるデータ損失リスクの軽減
    • 全てのAWSリージョンで利用可能である点
  • デメリット
    • CPU使用量が増加するため、十分なリソースの確保が必要
    • Oracle Advanced Compression Licensingが必要なため、追加のライセンスコストが発生

まとめ

Amazon RDS for OracleにおけるRedo Transport Compressionの提供開始は、ユーザーにとってデータレプリケーションの効率化と可用性向上をもたらす重要な機能追加です。ネットワークトラフィックの削減により、大規模なデータベース環境や複数リージョン間のデータ同期がより迅速かつ安全に実現可能となります。一方で、CPUリソースの増加やライセンスコストの考慮が必要です。全体として、この機能はAWSユーザーにとってデータ管理と可用性の強化を提供するものです。

考察

Redo Transport Compressionの提供は、AWSユーザーにとってネットワークを通じたデータ転送の効率を向上させる大きなメリットを提供します。しかし、CPUオーバーヘッドやライセンスコストといった点に注意を払う必要があります。特に、大規模なデータベースを運用する企業にとって、システム全体のパフォーマンスを維持しながらRPOを低下させることは非常に重要です。最終的に、この新機能は、データの信頼性と可用性を高める重要な戦略的選択となるでしょう。


タイトルとURLをコピーしました