Amazon Elastic VMware Service(Amazon EVS)のパブリックプレビュー開始

2025年6月発表

Amazon Elastic VMware Service(Amazon EVS)のパブリックプレビュー開始

はじめに

2025年6月、AWSは新たな進展を見せました。Amazon Elastic VMware Service(Amazon EVS)のパブリックプレビューが開始されたのです。この新しいサービスは、AWS上でVMware Cloud Foundation(VCF)ベースのワークロードを実行したいと考えるAWSユーザーに向けて提供されています。このサービスの提供開始は、2024年のAWS re:Inventで発表されたプライベートプレビューに基づくさらなる展開を示しています。本記事では、Amazon EVSの概要や詳細な機能、そしてその利用用途やメリットについて詳しく解説します。

概要

Amazon EVSは、AWS上でVMware Cloud Foundationを容易に展開し、既存のVMwareツールや外部ストレージソリューションと組み合わせて利用することが可能なサービスです。パブリックプレビューを通じて、AWSのお客様はAmazon VPC内でVCFベースのワークロードを稼働させることができ、特に非生産環境のワークロードを効率的に移行することができます。このプレビューは現在、5つのAWSリージョンで利用可能です。

詳細解説

Amazon EVSの機能と特徴

Amazon EVSでは、ユーザーはガイド付きのワークフローを通じて環境をプロビジョニングおよび設定し、自動的にAWS上に完全なVCF環境を展開することができます。このサービスは、VCFバージョン5.2.1をサポートしており、i4i.metalインスタンス上でワークロードを実行することが可能です。ユーザーは、一般提供が始まった際も、簡単に利用できるコンソールインターフェースと機能を継続して利用できると期待されています。

ライセンスと移行の柔軟性

パブリックプレビュー期間中、VCFのライセンスの可搬性を利用して、既存のライセンスを新しい環境に移すことが可能です。これにより、非生産環境のワークロードをAmazon EVSにスムーズに移行することができます。また、これにより新しい環境を再展開することなく、パブリックプレビュー期間中に設定された環境がそのまま利用可能になります。

対応リージョンとアクセス方法

現時点でAmazon EVSのパブリックプレビューは、US East(N. Virginia)、US East(Ohio)、US West(Oregon)、アジア太平洋(東京)、ヨーロッパ(フランクフルト)の5地域で利用可能です。AWSコンソールを通じてアクセスが可能で、より詳細な情報は製品ページやユーザーガイドで確認することができます。

利用用途・ユースケース

Amazon EVSは、特に既存のVMware環境をAWS上にシームレスに移行したい企業にとって理想的です。以下は具体的なユースケースの一部です:

– **非生産環境のテストと開発**: 新しいアプリケーションやアップデートのテスト環境として利用。
– **コスト削減のための統合**: データセンターからクラウドへの移行によるインフラ管理コストの削減。
– **災害復旧の強化**: AWS上でのバックアップおよびリカバリプロセスの一環として利用。

メリット・デメリット

  • メリット
    • 既存のVMware環境からのスムーズな移行が可能。
    • AWSの豊富なストレージオプションと簡単に連携。
    • 多地域での利用が可能で高可用性を実現。
  • デメリット
    • 現在は特定のリージョンでのみ利用可能。
    • VCFバージョン5.2.1に限定されているため、異なるバージョンのユーザーはアップグレードが必要。

まとめ

Amazon EVSの登場は、AWSクラウドにおけるVMware環境の管理をより簡単で効率的にする重要なステップです。これにより、企業は既存のインフラを最大限に活用しながら、クラウドの利便性とスケーラビリティを享受することが可能になります。特にVMwareのライセンス移行がサポートされているため、多くの企業にとって費用対効果の高い選択肢となるでしょう。今後の一般提供の開始を期待しつつ、AWSが提供するクラウドサービスの一層の進化に注目が集まります。

考察

Amazon EVSのパブリックプレビューは、AWS上での高度な仮想環境を求める企業にとって大きなメリットをもたらします。これは既存のVMwareユーザーにとって、クラウドへの移行がよりシームレスに行えることを示しています。ただし、現段階では特定のリージョンに限られているため、このサービスへの完全な依存は慎重に検討する必要があります。AWSユーザーは、この新たなサービスを活用しつつ、将来的なプランニングに生かすことができるでしょう。


タイトルとURLをコピーしました