2024年9月、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)は、PaaSおよびIaaSのさまざまなサービスに新機能を追加し、パフォーマンスとセキュリティの強化を図りました。今回のアップデートには、データベースサービス、ネットワーク管理、生成AI、ストレージ機能の改善などが含まれ、企業がクラウド環境をより効率的に利用できるようになっています。
データベースサービスの強化
Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure
- 新しい機能として、別リージョンのバックアップからのデータベース作成が可能になり、データの柔軟な移行とリストアが実現しました。
- Exadata Fleet Updateでは、カスタムイメージを利用したGrid Infrastructureの更新が可能となり、インフラ全体の管理が効率化されました。
Exadata Database Service on Cloud@Customer
- インフラストラクチャの四半期ごとのメンテナンス計画と実行が拡張され、柔軟なスケジューリングが可能に。重要な業務稼働時間への影響を最小限に抑えられます。
Autonomous Recovery Service
- マルチクラウド環境のバックアップをサポート。データ保護が一層強化され、Oracle Database@Azureをバックアップ対象として設定可能になりました。
Database Migration
- Oracle Database@Azureをターゲットデータベースとしてサポートし、より多様な移行ニーズに対応。オンプレミスやAmazon Web Services (AWS)からのデータベース移行も柔軟に行えます。
セキュリティと災害対策の向上
Full Stack Disaster Recovery
- Oracle Autonomous Container DatabaseやExadata Database Serviceを含む複数のOCIリソースが、ディザスタリカバリ保護グループに追加可能になり、重要データの保護が強化されました。
Network Firewall
- VTAP(Virtual Test Access Point)トラフィックミラーリングとVXLANのサポートにより、ネットワークトラフィックの監視とセキュリティが強化。DDoS攻撃やマルウェア検出などがより迅速に行えます。
ストレージの改善
File Storage
- 高性能マウントターゲットが追加され、単一ターゲットのスループットが最大80Gbpsに。従来のストレージパフォーマンスの限界を大きく上回り、高負荷なワークロードに対応可能です。
Object Storage
- プライベートエンドポイントのサポートにより、OCIのVCNから直接アクセス可能に。セキュリティ強化とデータアクセスの柔軟性向上が実現しました。
インフラストラクチャと生成AIの新機能
Autonomous Database Serverless
- Database In-Memoryのサポートで、高速なリアルタイム分析が可能に。さらに、PeerLagメトリックにより、ディザスタリカバリピア間のレイテンシが可視化され、データ同期の監視が向上しました。
OCI Cache
- シャードクラスタが導入され、キャッシュシステムのスケーラビリティが向上。高可用性とスケーラビリティが必要なアプリケーション向けに最適化されています。
Resource Scheduler
- 新たに登場したリソーススケジューラー機能により、Autonomous Databaseやコンピュートインスタンスの自動停止/起動が可能に。コスト削減と効率化が進みます。
その他の重要なアップデート
- Oracle VMware Solutions:VMware v8へのローリングアップグレードがサポートされ、OCI環境でのVMwareワークロードのパフォーマンスがさらに向上。
- Compute Service:AmpereOneプロセッサを搭載したVM.Standard.A2.Flexシェイプが追加され、高いコスト効率とパフォーマンスを提供します。
- OCI Kubernetes Engine (OKE):名称が変更され、新しいリリースでさらなる機能拡張が予定されています。
まとめ
2024年9月のOCIアップデートは、企業が安全で効率的にクラウドを活用できるための機能強化が中心です。セキュリティ、生成AI、災害対策、ストレージの進化により、OCIは多様なニーズに対応する堅牢なクラウドプラットフォームとしての地位を強固にしています。