はじめに
AWS Security Hubは、AWS環境全体でセキュリティの管理と監視を一元化するためのサービスです。今回、AWS Security Hubが新たにNIST SP 800-171 改訂2をサポートするようになりました。NIST SP 800-171は、機密性の高い情報を保護するためのセキュリティ要件を提供するフレームワークであり、この改訂により、より強力なセキュリティチェックが可能となります。本記事では、この新しいサポートの詳細とその活用方法について紹介します。
概要
AWS Security Hubは、セキュリティチェックを自動化し、AWSの各リソースがNIST SP 800-171 改訂2の要件に準拠しているかどうかを評価する機能を提供しています。このフレームワークは、米国商務省の一部であるNISTによって開発されました。AWS Security Hub内でのNIST SP 800-171 改訂2の標準には、63の自動制御が含まれており、これらはAWSリソースに対して自動チェックを実行します。この新しい標準は、Security Hubが利用可能なすべてのAWSリージョンで利用可能であり、AWS GovCloud (US) および中国リージョンを含みます。
詳細解説
NIST SP 800-171 改訂2とは
NIST SP 800-171 改訂2は、米国連邦政府以外のシステムと組織における機密性管理を目的としています。このフレームワークでは、制御されていない非機密情報(CUI)の機密性を保護するためのセキュリティ要件が提供され、これに基づくセキュリティ対策の導入が推奨されています。
AWS Security Hubによる自動化のメリット
AWS Security Hubでは、新たに提供された63の自動制御がNIST SP 800-171の要件と一致しているかをチェックします。これらの自動化されたプロセスにより、人手によるセキュリティチェックの負担を減らし、スピードと正確性を向上させます。
Security Hubの中央設定による迅速な導入
NIST SP 800-171 改訂2をAWSアカウント全体で迅速に導入するために、Security Hub中央設定の使用が推奨されています。これにより、組織内のすべてのアカウントやリンクされたAWSリージョンで、一度の操作でこの標準を有効にすることが可能です。
利用用途・ユースケース
AWS Security HubによるNIST SP 800-171 改訂2のサポートは、特に以下のようなシナリオで有用です:
– 機密情報(CUI)を扱う企業や組織が、規制に準拠したセキュリティポリシーを実装する場合
– 複数のAWSリージョンで一貫したセキュリティ基準を維持したい場合
– セキュリティ監査や評価で迅速に準拠状況を確認したい場合
メリット・デメリット
- メリット: セキュリティチェックの自動化による効率化と精度向上、規制遵守の容易さ、広範なリージョンでのサポート
- デメリット: 初期設定には一定の知識と時間を要する可能性、非AWS環境でのカバレッジは限定的
まとめ
AWS Security HubのNIST SP 800-171 改訂2サポートは、特に機密情報の保護が求められる組織にとって価値のあるアップデートです。自動制御によるセキュリティチェックは、その効率性と信頼性から、セキュリティの強化に大きく貢献します。広範なリージョンでのサポートと迅速な導入が可能なため、多様なビジネスニーズに対応できます。AWS環境でのセキュリティ強化が求められる現代において、この新機能の活用は非常に意義深いものとなるでしょう。
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