Amazon EventBridgeとAWS Step Functions、プライベートAPIとの統合を発表

2024年12月発表

2024年12月1日、Amazon Web Services(AWS)は、Amazon EventBridgeAWS Step Functionsが、AWS PrivateLinkおよびAmazon VPC Latticeを活用したプライベートAPIとの統合をサポートすることを発表しました。これにより、オンプレミスやクラウド上のパブリックおよびプライベートネットワーク全体で、分散アプリケーションのモダナイゼーションとイノベーションの加速が容易になります。

アップデートの概要

今回の統合により、企業はレガシーシステムとクラウドネイティブアプリケーションを、イベント駆動型アーキテクチャやワークフローオーケストレーションを使用して安全に統合できるようになりました。これにより、AWS上でのイノベーションが加速し、セキュリティや規制遵守を維持しながら、より高いパフォーマンスとアジリティ、そしてコスト削減を実現できます。

従来、サイロ化されたVPCやオンプレミス環境間でのアプリケーション統合は、カスタムコードや複雑な設定が必要で、困難を伴っていました。しかし、今回のフルマネージドなプライベートHTTPSベースのAPIへの接続により、開発者はカスタムネットワーキングや統合コードを作成・維持する必要がなくなり、拡張可能なシステムを構築し、新たな機能を容易に追加できるようになります。

このプライベートAPIとの統合は、以下のリージョンで一般提供されています。

  • アジアパシフィック(香港、ムンバイ、シンガポール、シドニー、東京)
  • ヨーロッパ(フランクフルト、アイルランド、ロンドン、パリ、ストックホルム)
  • 南アメリカ(サンパウロ)
  • 米国東部(バージニア北部、オハイオ)
  • 米国西部(北カリフォルニア、オレゴン)

AWS Management Console、AWS CLI、SDKを使用して、Amazon EventBridgeおよびAWS Step FunctionsでプライベートAPIを利用開始できます。

想定される利用用途

  • レガシーシステムのクラウド統合: オンプレミスのレガシーシステムとクラウドネイティブなアプリケーションをシームレスに統合し、データの一貫性とリアルタイム性を確保します。
  • セキュアなデータ連携: プライベートAPIを介して、異なるVPC間やオンプレミス環境との安全なデータ連携を実現し、セキュリティとコンプライアンスを維持します。
  • イベント駆動型アプリケーションの構築: EventBridgeを活用して、分散アプリケーション間でのイベント駆動型通信を確立し、リアルタイムなデータ処理と反応を可能にします。
  • ワークフローの自動化: Step Functionsを使用して、複数のシステムやサービス間のワークフローを自動化し、業務プロセスの効率化を図ります。

メリット

  • 迅速な市場投入: カスタムネットワーキングや統合コードの作成・維持が不要となり、新機能の開発と導入が迅速化されます。
  • 高いセキュリティとコンプライアンス: AWS PrivateLinkやAmazon VPC Latticeを活用することで、データのセキュリティと規制遵守を確保しながら、システム統合が可能です。
  • コスト削減: フルマネージドなサービスを利用することで、インフラストラクチャの管理負担と関連コストが削減されます。
  • スケーラビリティの向上: イベント駆動型アーキテクチャにより、システム全体のスケーラビリティと柔軟性が向上します。

デメリット

  • 学習コスト: 新しいサービスや統合手法の習得には、時間とリソースが必要です。
  • 既存システムとの互換性: 一部のレガシーシステムやプロトコルとの互換性に課題が生じる可能性があります。
  • リージョン制限: 提供されていないリージョンでは、この機能を利用できないため、グローバル展開時に制約が生じる可能性があります。
  • 依存性の増加: AWSのサービスに依存することで、他のクラウドプロバイダーへの移行が難しくなる可能性があります。

まとめ

Amazon EventBridgeとAWS Step FunctionsのプライベートAPI統合は、企業がレガシーシステムとクラウドネイティブアプリケーションを安全かつ効率的に統合するための強力な手段を提供します。これにより、イノベーションの加速、高いセキュリティとコンプライアンスの維持、コスト削減、そしてスケーラビリティの向上が期待できます。ただし、新しい技術の習得や既存システムとの統合に際しての課題も存在するため、導入前に十分な検討が必要です。

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