2024年11月、AWSはAWS Pricing Calculatorに新機能を追加しました。このアップデートにより、AWSユーザーはSavings Plansやリザーブドインスタンスなどの購入コミットメントや割引を考慮した、より現実的なコスト見積もりが可能となりました。さらに、履歴使用量のインポートやAPIアクセスなど、効率的な見積もり作成をサポートする新機能も導入されています。
新機能のポイント
1. 割引適用と購入コミットメントの影響分析
Savings Plansやリザーブドインスタンスといった購入コミットメントが、AWS全体の請求にどのように影響を与えるかを正確に見積もれます。これにより、コスト削減のポテンシャルを最大限に引き出す計画が可能です。
2. 履歴使用量のインポート
過去のAWSリソース使用データをインポートすることで、手動入力の手間を省き、正確な見積もりを短時間で作成できます。既存の使用状況をベースにした見積もり作成に最適です。
3. 見積もりの共有とAPIアクセス
作成した見積もりを他のAWSコンソールユーザーと共有できるほか、新たに提供された公開コスト見積もりAPIを利用することで、プログラム的に見積もりを操作できます。
想定される利用用途
1. 新規ワークロードの導入計画
AWSで新しいアプリケーションやサービスを展開する際、割引や購入コミットメントを考慮したコスト見積もりを事前に作成できます。これにより、予算の範囲内で効率的なリソース計画が立てられます。
2. 既存ワークロードの最適化
Savings Plansやリザーブドインスタンスが既存のAWSリソース使用状況にどの程度影響するかを評価し、最適化の機会を発見できます。
3. 財務計画と予算編成
正確なコスト見積もりを活用し、AWS利用に基づいた詳細な財務計画や予算編成を行うことが可能です。
メリット
1. コスト見積もりの精度向上
割引や購入コミットメントを反映することで、実際の請求額に近い見積もりが作成でき、計画の精度が向上します。
2. 作業効率の改善
履歴使用量のインポート機能により、手動入力の手間を削減し、迅速な見積もり作成が可能です。
3. チーム間での透明性と連携向上
見積もりの共有機能を活用することで、チーム内での意思決定がスムーズに進みます。
デメリット
1. 学習コスト
新機能を効果的に活用するには、AWS Pricing Calculatorの操作や設定を習得する時間が必要です。
2. データの正確性への依存
履歴使用量のデータが不正確な場合、見積もりの精度に影響を与える可能性があります。
3. API利用の技術的課題
コスト見積もりAPIを活用するには、一定のプログラミング知識が必要となります。
利用可能リージョン
この新機能は、中国を除くすべてのAWS商用リージョンで利用可能です。AWS Billing and Cost Managementコンソール内からアクセスできます。
まとめ
AWS Pricing Calculatorのアップデートにより、AWSリソースのコスト見積もりがさらに精度を増しました。Savings Plansやリザーブドインスタンスなどの割引と購入コミットメントを反映した見積もりが可能になり、コスト削減と財務計画の効率が向上します。一方で、操作習得やデータ正確性の確保が必要ですが、これらを乗り越えれば、AWSリソースの最適利用に大きく貢献するツールとなるでしょう。
詳細は、公式発表ページをご覧ください。
