AWSは2024年11月、AWS CodePipelineに2つの新しいアクション、ECRBuildAndPublishとAWS InspectorScanを追加しました。このアップデートにより、コンテナイメージのビルド、セキュリティスキャン、デプロイの一連のプロセスがさらに効率化され、開発者は高品質なソフトウェアをより迅速にリリースできるようになりました。
新機能の概要
ECRBuildAndPublishアクション
このアクションでは、以下のことが簡単に実現できます:
- Dockerイメージのビルド
パイプライン内でDockerイメージを直接ビルド可能。 - Amazon Elastic Container Registry(ECR)への自動プッシュ
ビルドしたイメージをECRに自動的にプッシュして、次のデプロイステージに進められる。
これまで、CodeBuildプロジェクトを作成し、カスタムコマンドを設定する必要がありましたが、このアクションを使うことでプロセスが大幅に簡略化されます。
AWS InspectorScanアクション
AWS InspectorScanアクションは、以下のセキュリティ機能を提供します:
- 脆弱性スキャンの自動化
コンテナイメージやソースコードリポジトリに含まれる脆弱性を検出。 - パイプラインとの統合
セキュリティチェックをCI/CDパイプラインの一部としてシームレスに組み込むことが可能。
これにより、デプロイ前に潜在的な脆弱性を発見・修正でき、セキュリティの向上を実現します。
想定される利用用途
1. コンテナベースのアプリケーション開発
Dockerを活用したマイクロサービスアーキテクチャの開発環境で、ECRにイメージを自動的にビルド・プッシュし、効率的にデプロイメントを実行。
2. セキュリティ重視のアプリケーション開発
デプロイ前にAWS InspectorScanを使って脆弱性スキャンを実行し、リリースの品質とセキュリティを確保。
3. CI/CDパイプラインの最適化
ビルド、セキュリティチェック、デプロイを一つのパイプラインで管理し、継続的デリバリーを強化。
メリット
1. 開発効率の向上
DockerイメージのビルドやECRへのプッシュを簡素化し、パイプラインの構築と運用がスムーズに。
2. セキュリティリスクの軽減
AWS InspectorScanアクションにより、脆弱性のあるコンテナイメージやコードがデプロイされるリスクを大幅に低減。
3. 設定作業の簡素化
CodeBuildプロジェクトを個別に作成・設定する必要がなく、設定作業の負担が軽減。
4. リリースの信頼性向上
セキュリティチェックと自動化されたプロセスにより、高品質なリリースを実現。
デメリット
1. CodePipelineのバージョン制限
新アクションはCodePipeline v2のみで利用可能。v1では非対応のため、既存の環境をアップグレードする必要があります。
2. サードパーティツールとの連携制約
AWS InspectorScanアクションは、特定のサードパーティモニタリングツールと互換性がない場合があります。
3. 学習コスト
新機能の導入には、チームメンバーの学習や運用プロセスの見直しが必要です。
利用可能なリージョン
ECRBuildAndPublishおよびAWS InspectorScanアクションは、AWS CodePipelineが利用可能なすべてのリージョンでサポートされています。
まとめ
AWS CodePipelineの新しいアクション「ECRBuildAndPublish」と「AWS InspectorScan」により、コンテナイメージのビルドからセキュリティスキャンまでのプロセスが簡素化され、セキュアなアプリケーションデプロイメントが可能になりました。この機能は、開発効率を向上させるだけでなく、セキュリティリスクを低減し、CI/CDパイプライン全体の信頼性を高めます。一方で、バージョン制限や学習コストなどの課題もあるため、導入前に十分な計画が必要です。
詳細は、公式発表ページをご覧ください。