2024年11月、AWSはAWS Outposts上で稼働するEC2インスタンスストアに対し、**スタティックスタビリティ（静的安定性）**機能の提供を開始しました。この新機能により、AWSリージョンとの接続が一時的に失われた場合でも、EC2インスタンスは安定して稼働を続け、電源障害や再起動後も自動的に復旧します。
オンプレミスでクラウドサービスを活用する企業にとって、システムの可用性向上とダウンタイム削減が期待できる機能です。
スタティックスタビリティとは？
スタティックスタビリティとは、AWSリージョンや制御プレーンに依存せずに、インスタンスが稼働し続ける特性を指します。この機能により、AWS Outposts上のEC2インスタンスは、電源障害や再起動後も設定された状態で自動的に復旧します。
AWS Outpostsでは、通常AWSリージョンとの接続を通じてリソース管理やアクセス制御を行いますが、この新機能により接続が切れた場合でも、インスタンスストアに保存されたデータを保持しながら運用を継続できます。
AWS Outpostsとは？
AWS Outpostsは、AWSのクラウドサービスをオンプレミス環境で提供するハイブリッドソリューションです。企業はAWSの使い慣れたインターフェイスやAPIを利用して、オンプレミス環境でアプリケーションを実行できるため、クラウドとオンプレミスの統一された管理が可能です。
今回のアップデートで、Outposts上のEC2インスタンスストアが物理サーバーのような信頼性を持つようになり、オンプレミス環境でのシステム運用がさらに安定しました。
想定される利用用途
1. ミッションクリティカルなアプリケーション
製造業、医療、金融業界など、ダウンタイムが許されないシステムで高い可用性を確保。
2. リモートロケーションでの運用
ネットワーク接続が不安定なリモートオフィスや工場、船舶などで、リージョン接続が失われても業務を継続。
3. 災害対策（DR）
自然災害や障害発生時に、オンプレミス環境での自動復旧を迅速に行う。
メリット
1. ダウンタイムの削減
電源障害やシステム再起動後に自動復旧するため、業務停止時間が大幅に短縮されます。
2. データ損失の防止
インスタンスストアに保存されたデータを保持しながら復旧可能で、重要なデータを安全に管理。
3. 運用効率の向上
手動操作なしで復旧が完了するため、IT運用チームの負担を軽減。
4. クラウドレベルの利便性
AWSリージョンとの接続が復旧次第、最新の状態が同期され、クラウドとオンプレミスの連携が容易。
デメリット
1. EBSバックアップの非対応
この機能は、インスタンスストアにのみ適用されるため、EBSボリュームを利用している場合は恩恵を受けられません。
2. 特定のインスタンスタイプに限定
インスタンスストアをサポートするインスタンスタイプに制限されるため、全てのユースケースに適用できるわけではありません。
3. 長期的な接続喪失の課題
Outpostsの全機能を活用するにはAWSリージョンとの接続が必要で、長期的な接続喪失があると影響を受ける場合があります。
利用方法
- Outpostsの設定確認
- Outposts環境でのEC2インスタンスストアの利用設定を確認。
- スタティックスタビリティ対応インスタンスタイプの選定
- ストア型インスタンスを選択し、アプリケーションの要件に応じた構成を決定。
- テストと運用
- 冗長性や自動復旧機能が正しく動作するかを事前にテストし、運用開始。
詳細は、AWS公式ドキュメントをご参照ください。
まとめ
AWS Outpostsでスタティックスタビリティ機能を活用することで、ミッションクリティカルなアプリケーションやリモート環境での運用がさらに安定します。この新機能は、EC2インスタンスストアを活用した運用をより堅牢にし、業務の信頼性向上に寄与します。ただし、EBSバックアップが非対応である点や利用可能なインスタンスタイプの制限を理解した上で導入を進めることが重要です。
詳細は、公式発表ページをご覧ください。
