AWSがライブストリーミング向け「メディア品質認識レジリエンシー(MQAR)」を発表!高品質な視聴体験を実現

2024年11月発表

2024年11月、AWSはライブストリーミング配信の品質を向上させる新機能**メディア品質認識レジリエンシー(Media Quality-Aware Resiliency、MQAR)**を発表しました。この新機能により、動的なクロスリージョンオリジン選択とフェイルオーバーが可能となり、ライブイベントや24時間チャンネルの配信で視聴体験を向上させます。


MQARの概要

MQARは、AWS Elemental MediaLive、MediaPackage、CloudFrontの統合により実現された機能です。この仕組みは、ライブストリーミング配信中に品質低下を検出し、自動的に最適なオリジンに切り替えることで、視聴者に一貫した高品質なコンテンツを提供します。

主な機能

  1. リアルタイム品質分析
    • AWS Elemental MediaLiveがビデオ入力を分析し、黒いフレーム、フリーズ、フレームドロップなどを検出します。
  2. 動的オリジン選択
    • CloudFrontが、最高の品質スコアを持つMediaPackageオリジンを選択して配信。
  3. 迅速なクロスリージョンフェイルオーバー
    • 数秒以内にオリジン間で切り替えを行い、配信の中断を防ぎます。

利用方法

MQARを利用するには、AWSメディアサービスを設定し、クロスリージョンのチャンネル配信をデプロイします。以下のステップで実装可能です:

  1. MediaLiveとMediaPackageのセットアップ
    • ビデオストリームを受信し、品質スコアを計測。
  2. CloudFrontのオリジングループ設定
    • 複数のリージョンに配置されたMediaPackageオリジンを登録。
  3. CloudWatchでのモニタリング
    • 品質低下やフェイルオーバーをリアルタイムで監視。

MQARの利用に追加料金はなく、既存のCloudFrontとAWSメディアサービスの料金のみが適用されます。


想定される利用用途

1. ライブイベント配信

  • スポーツイベントやコンサートで、品質低下が発生しても迅速に切り替えが行われ、視聴者に中断のない配信を提供。

2. 24時間放送チャンネル

  • ニュースやエンターテインメントなどの連続放送で、配信中断を防ぎ、高品質な視聴体験を維持。

3. グローバル配信

  • 複数の地域にまたがる視聴者に対し、最適なオリジンからの配信で遅延を最小化。

4. 企業向けイベント

  • 年次総会やトレーニングセッションなど、ビジネス用途のライブ配信で信頼性を確保。

メリット

1. 視聴体験の向上

品質低下時に自動で最適なオリジンに切り替えることで、視聴者に中断のない体験を提供します。

2. 運用効率の向上

自動化された品質管理により、手動介入の必要が減り、運用効率が向上します。

3. 迅速な対応

クロスリージョンフェイルオーバーが数秒以内に行われるため、品質低下が視聴者にほとんど影響を与えません。

4. コスト効率

追加料金が発生せず、AWSメディアサービスとCloudFrontの既存料金内で利用可能です。


デメリット

1. 初期設定の負担

MQARの実装には、AWSメディアサービスやCloudFrontの高度な設定が必要で、初期導入時に時間と専門知識が求められます。

2. AWSサービスへの依存

AWSメディアサービスとCloudFrontの機能を前提としているため、他のCDNやメディアサービスとの併用が難しい場合があります。


まとめ

AWSのメディア品質認識レジリエンシー(MQAR)は、ライブストリーミング配信における品質低下への迅速な対応を実現する強力なツールです。スポーツイベントやニュースチャンネル、企業イベントなど、高品質なライブ配信を求める場面で大きな効果を発揮します。一方で、導入時の設定には専門知識が必要なため、十分な準備が求められます。

詳細については、公式発表ページをご参照ください。

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