AWSは、AWS CloudTrail Lakeの機能を強化し、高度な分析とクロスアカウントデータアクセスを新たにサポートしました。このアップデートにより、AWS環境全体でのログ分析がより効率的かつセキュアに行えるようになり、セキュリティ監査や運用管理の透明性が大幅に向上します。
本記事では、新機能の詳細、利用用途、メリット・デメリットについて解説します。
AWS CloudTrail Lakeとは?
AWS CloudTrail Lakeは、AWSアカウント内のすべてのアクティビティを記録し、変更不可なデータとして保存する完全マネージド型のデータレイクサービスです。このサービスは、セキュリティ監査、コンプライアンス、運用管理を強化し、データの検索と分析を容易にします。
新機能の追加により、従来以上に柔軟かつ効率的なデータ活用が可能となりました。
新機能の概要
1. 高度な分析機能
AWS CloudTrail Lakeに、新たなダッシュボード機能が導入されました。以下の特徴があります:
- AIインサイト(プレビュー版):AWSアカウント全体のセキュリティや運用データをAIで分析し、トレンドや異常を自動検出。
- プリビルドダッシュボード:14種類のテンプレートが提供され、アクセス拒否やログイン失敗イベントなど、重要な指標を一目で確認可能。
- カスタムダッシュボード:独自の分析ニーズに応じたダッシュボードを作成し、定期的に更新。
2. クロスアカウントデータアクセス
リソースベースポリシー(RBP)を使用して、イベントデータストアを安全に共有できるようになりました。これにより、複数アカウントにまたがるログデータを効率的に統合し、分析可能です。
想定される利用用途
- セキュリティ監査
AWS環境全体のアクティビティログを統合して分析し、不正アクセスや異常を迅速に特定。 - コンプライアンス遵守
規制やガイドラインに沿ったログ保存と分析を行い、監査の効率化を支援。 - 異常検知とトラブルシューティング
運用環境で発生した問題の根本原因を素早く特定し、影響範囲を把握。 - 運用の最適化
複数アカウントやリージョンにまたがるAWS環境を統合的に監視し、リソース利用を最適化。
メリット
1. 効率的なデータ分析
高度なダッシュボードとAIインサイトにより、データ分析のスピードと精度が向上。
2. セキュリティ強化
クロスアカウントでデータを一元化し、全体的なセキュリティ監視を実現。
3. 運用効率の向上
データレイクに集約されたログを活用し、運用の自動化と問題解決の迅速化が可能。
4. 柔軟なカスタマイズ
カスタムダッシュボードを作成することで、特定の業務ニーズに対応した分析が可能。
デメリット
1. 学習コスト
新機能を効果的に活用するには、設定方法や運用プロセスの理解が必要です。
2. コストの増加
高度な分析やデータストアの利用が増えることで、クエリ実行やストレージのコストが増加する可能性があります。
3. 初期設定の手間
クロスアカウントアクセスの設定やポリシーの適用には、専門的な知識が求められます。
まとめ
AWS CloudTrail Lakeの新機能は、セキュリティ監査、コンプライアンス対応、運用管理を効率化する強力なツールです。特に、大規模なAWS環境を運用する組織にとって、クロスアカウントでのログ統合と高度な分析機能は、IT運用の効率化とセキュリティ強化を大幅にサポートします。
一方で、導入には学習コストや設定の複雑さが伴うため、計画的な導入と適切な運用が求められます。
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