物理的側面:信頼性を支える基盤
1. リージョン
リージョンとは、OCIが展開する物理的なデータセンターの集まりを指します。以下のような特徴があります。
- 具体例
東京リージョン、大阪リージョン、アッシュバーン、ロンドンなど。 - デュアルリージョン戦略
- 1国に2か所のリージョンを設置する方針。
- 日本国内では東京と大阪の2つのリージョンがあり、国内だけでレプリケーション設計が可能。
- データの国外移動を禁止する要件にも対応可能。
- リージョン選択のポイント
- 場所: ユーザーやシステムに近いリージョンを選択することで待ち時間を最小化(例: 日本なら東京や大阪)。
- データレジデンシーとコンプライアンス: 国ごとに異なる厳格なデータ保持要件に対応。
- サービスの可用性: 地域需要や規制に応じたクラウドサービスが利用可能。
2. アベイラビリティ・ドメイン(AD)
ADはリージョン内の物理的なデータセンターで、以下の特性があります。
- 特徴
- お互いが隔離されており、同時に障害が発生するリスクが極めて低い。
- リージョン内には3つのADがある(マルチAD構成)と、1つのAD(シングルAD構成)がある。
- 具体例
マルチAD: フランクフルト、ロンドン、アッシュバーン、シカゴ、フェニックス。
シングルAD: 他のリージョン。
3. フォルト・ドメイン(FD)
FDはAD内の論理的な区画で、耐障害性を高める設計が施されています。
- 特徴
- 1つのADには必ず3つのFDが存在。
- メンテナンス時には、他のFDは稼働したまま。
- 仮想サーバを配置する際は、FDを分散することで可用性を向上。
その他の用語
- レルム: 商用、政府、専用などの種類があり、一般的には商用を利用。
- バックボーン: 各データセンター間は高速な回線で接続。
OCIリソースの種類と有効範囲
- グローバル: リージョンをまたぐリソース(例: ユーザー情報)。
- リージョン: 特定のリージョン内で有効なリソース(例: 仮想ネットワーク)。
- 可用性ドメイン: 特定のAD内で有効(例: サーバインスタンス)。
- フォルト・ドメイン: 特定のFD内で有効。
論理的側面:管理の効率化と分割設計
1. テナンシー
Oracle Cloudの契約時に割り当てられる論理的領域です。以下の要素が含まれます。
- IAM(Identity and Access Management)など
2. コンパートメント
コンパートメントは、リソースを論理的に整理・管理するための区画です。
- 特徴
- ルート・コンパートメントから開始し、営業用や開発用など用途に応じて分割可能。
- 登録時に指定するホームリージョンを基点に展開される(例: 東京リージョンを指定後、大阪リージョンを追加可能)。
- 注意点
管理コンソールでリージョンとコンパートメントを正確に指定しないと、意図しないリージョンにリソースを配置してしまうリスクがある。
まとめ
OCIアーキテクチャは、物理的側面での高い耐障害性と、論理的側面での効率的なリソース管理を両立しています。リージョンやドメイン、コンパートメントの特徴を理解し、適切に活用することで、信頼性の高いシステムを設計できます。